>>(上)より続く
Bさんは「いきなり全てを変えようとするのは無理」と断言する。確かに、これまで連日深夜帰宅が当たり前だったような忙しい男性が、翌日から夜8時に帰ろうとするのは無理だろうし、深夜から家事をこなすのも現実的ではない。
もちろん家事・育児を分担してほしいと望む妻は多い。それだけではなく、いやそれ以上に、妻たちは行間に別のものを求めているのかもしれない。夫婦会議などを行って各々の思いを言葉にして把握した上で、優先順位をつけて、できることから少しずつやっていくと良いのではないか。
せっかく「家事リスト」をつくっても
夫婦が個々のルールで動けば意味なし
3組目のCさん(女性/30代前半/SE/子ども1人)は、冷静に「夫婦間バトルの火種は妻側にある」と分析する。前出の川崎さんの指摘ともつながるが、Cさん自身も新婚当初、自分でイメージした「ここまでやらなければ」という理想に縛られていた、と振り返る。
「根が真面目な性格でどちらかというと完璧主義なので、自分で自分を締め付けていたのだと思います。なので、『今日はここまでやらないといけない』と思っても、現実は『あれもこれもできていない』と気づいて、落ち込んでしまうことが多かったです」
育休中に軽度なバトルが夫との間で勃発した。掃除が苦手なCさんだが、時間ができたためか掃除熱が高まり、「◯◯掃除は毎日必ずやる」「最低でも◯◯は週1回掃除する」など、自分が理想とする状態について夫に話をした。
夫から「全てリスト化してほしい。そうすればわかりやすいから」と頼まれ、やること全てをリストにし、風呂掃除ひとつにしても、風呂場の◯◯と◯◯を掃除してほしい、など事細かに書き込んだ。しかし、夫と妻は育ってきた環境が違うことから、考え方や価値観にも当然差がある。特に掃除などは、各家庭によってやり方が驚くほど異なる。それぞれに「ルール」があるのだ。
「夫の要望に応えてリストをつくったものの、お互いに思いは違ったようです(笑)。『◯◯の部分を掃除してほしい』と書いても、彼には彼のルールがあるので、自分が気になるところしか掃除しないわけです。でも、それをきっぱり許すことにしました。あるいは『できていない部分は自分でやれば良い』と考え方を変えました。そうすることでケンカは抑えられるようになりましたね」
Cさん夫婦はとても建設的な取り組みを行っている。たとえば、Cさんより夫の方が掃除と片づけが得意だと判明してからは、夫が掃除と片づけを全て担当するようになったのだ。Cさんは自身が好きだと感じる料理と洗濯をやっている。