家事・育児を進んで行う男性、いわゆる「イクメン」を結婚相手に望む女性は多い。そんな男性を「イクメン士」として養成し、結婚市場に送り出す場として「イクメン大学」なるものまで開講したという。これまで女性だけに課せられていた花嫁修業ならぬ「花婿修業」は、晩婚化や少子化などの問題にインパクトを与えるものとなるか。世間で唱えられる「新しい男性像」は、果たして実際の恋愛・結婚にうまく根付いていくのだろうか。(取材・文/池田園子、編集協力/プレスラボ)
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晩婚化が進む昨今、度々話題に上る数字に「生涯未婚率」がある。50歳までに一度も結婚したことがない人を算出した割合だ。一生涯独身でいる人の割合ではないが、50歳で未婚の場合、その先も結婚しない可能性が高いと考えられるため、ずっと独身でいる人の目安を示す統計指標として使われている。
国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集」(2014年)によると、2010年の生涯未婚率は男性が20.14%、女性は10.61%であった。2005年のデータと比べると、男性は5年で約4ポイントの上昇が見られる。5人に1人の男性が生涯独身を貫くことになるという割合だ。さらに今後は晩婚化や非婚化がより一層進み、この数値が上がるとの予測もある。
「家事・育児に自信も知識もない」
男性の生涯未婚率上昇の背景
いったいなぜ、結婚しない男性が増えているのか。その1つの解として「男性が育児に消極的であること」に目を付けたのが、ネット上で注目を集める「イクメン大学」を運営する株式会社ヴォルテッジだ。同社は同大学開講時のプレスリリースで、以下のような見解を示している。
「『なぜ、男性の未婚率が増えたのか』と考えた結果、男性の育児参加が重要だと考えました。男性は育児に消極的です。知識や経験のなさから自信が持てず、参加できていないのが現状です。そこで、『イクメン士』を育て、積極的に家事や育児に参加してもらいたいと考えています」(2月に配信されたプレスリリースから引用)
彼らが言うイクメン士を育成するイクメン大学は、「人生を楽しみ、女性に求められる男子力を磨く場所」と位置付けられている。対象となる「学生」は、30~40代の独身男性や今後子どもをつくるかどうか迷っている既婚男性だ。