社会人となって、かれこれ30年。いろいろな人といろいろな仕事をしてきた。素晴らしい機会に恵まれ、それなりに良い仕事もできたのではないかと内心思っているが、なかには、「仕事のための仕事」とでも言うべき、「これってどうなの?」と感じる仕事もあった。
そういった仕事をさせる(許している)企業には、ある共通した問題点がある。彼らには「自分がやる」という当事者意識がなく、基本的に「やらないことが前提」「(やる場合も)他人がやることが前提」の野党体質なのである。具体的な事例をいくつか紹介していこう。
出世のためのアピール、恩を売るため
「誰も本気じゃない」仕事
あるインフラ系の企業と仕事をしたときのこと。「上に提出する」として、担当者から新規ビジネスの企画書を見せられた。「ネタとしてはいい」というのが私の感想だ。同時に「まだ生煮えだな」とも感じた。検証が不十分なのだ。「このまま提出するとつぶされてしまいますよ」と進言したところ、担当者から驚きの答えが返ってきた。
「いいんですよ、どうせやらないんですから」
そのプロジェクトの目的は、実現させて結果を出すことではなかった。「会社のビジョンに沿った」企画書を作り、提出することで、上からの覚えをめでたくすることが目的だったのだ。むしろ「もっと検証が必要です」などと言って異動までの時間稼ぎができれば、絵空事を実現するために自分が骨を折ることもない。彼はその作戦で時間を稼ぎ、異動。その後、見事に出世した。自分がやってみせた結果ではなく、アピールや姿勢を大切にするのは、野党体質の会社にありがちなスタイルである。