連休明けの日本株式市場は、海外環境の悪化に調整を余儀なくされた。第1には「世界的な財政赤字の拡大=ソブリンリスク」である。

 リーマン破綻後の危機を早期に脱却できたのは、各国政府の財政出動による景気刺激策のためであった。これが、各国中央銀行の超金融緩和策と相乗効果を生み、世界経済を回復軌道に乗せた。と

 ところが、その副作用が「ソブリンリスク」となって、ブーメランのように世界を脅かしつつある。

 ギリシャに端を発した財政赤字問題は、「南欧のドミノ現象」を引き起こしかねない情勢である。すでに、ポルトガルが「ギリシャ化」の道をたどりつつあるが、有力なユーロ構成国であるスペインにまで、この連鎖が波及する可能性が高まっている。

 歴史的、地理的な経緯から、欧州金融機関の南欧に対する投融資額は大きい。国際決済銀行のデータでは、欧州の銀行全体の対ギリシャ投融資額は1931億ドルである。

 もし、ギリシャ問題がこじれた場合には、リーマン破綻の混乱に続いて、欧州金融機関は、またもや不良債権問題に直面することになる。

 第2には、中国の金融引き締め政策である。中国人民銀行の貨幣政策委員である李稲葵氏は、「最高指導者の不動産価格上昇を抑制する政治的意志が、どれほど強固なものか市場は理解していない」ときわめて強いトーンの発言を行った。