イエレンFRB議長は労働経済学の専門家として知られる。今回の雇用統計を根拠に年内利上げを確信するアナリストも少なくない Photo:AP/アフロ

 米連邦準備制度理事会(FRB)が今年12月に利上げに踏み切る──。そんな観測が一気に広がっている。10月の雇用統計で、非農業部門の雇用者増加数が対前月比で27.1万人と市場予想を約10万人も上回り、サプライズとなったためだ。

「賃金上昇率も対前年同月比で2.5%のプラスとなったことで、12月利上げの可能性の精度が高まった」(小野亮・みずほ総合研究所主席研究員)

 米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げ慎重派で知られるエバンス・シカゴ連邦準備銀行総裁が、「雇用が極めて良い」とコメントしたことも、利上げ観測を強めている。

 また、賃金上昇と原油安を背景に個人消費の伸びも期待されており、それも年内の利上げ観測に拍車を掛けている。

「緩やかな利上げであれば、米経済は耐えられる」という見方が大勢になってきており、雇用統計発表後のニューヨークダウも小幅ながら上昇。通常なら悪材料となる利上げ観測がそうはならなかった。