頑固上司にこそ身につけてもらいたい
コーチングの手法

 一度だけ、K部長の自宅をお訪ねしたことがある。焼肉好きの私に、(決して霜降りでもなく希少部位でもないが)「焼肉は日本でも韓国でも食べ尽くしたが、この肉を食べたら、他の肉は食べられない、一番の肉を出してくれる近所の店の肉だ。ほら、食べろ」という意味のことを言って、次々と焼いてくれ、「これは青森産にんにくだ。牛乳を飲めば明日は大丈夫だ」と、ごま油でにんにくを揚げてくれた。

 その後、K部長自身の著書の中で、その日の出来事のことを、「今日は、休日にもかかわらず、会社の部下が訪ねてきて迷惑だった」と書かれてしまい、書かれたことに書店で購入した著書を読んで初めて気づくという出来事があった。

 しかし、その時点では、もはや、「迷惑だと口では言いながら、本心では迷惑だなんて思っていないことを、よくわかっています。たいへんなもてなしをしていただき、ありがとうございました」と手を合わせる気持ちになるほど、信頼関係は揺るぎないものになっていた。

 パワハラと見まがうような“頑固オヤジ”的上司であっても、確固とした信念を持っているのであれば、言葉は乱暴なままであってもいい。ただ、荒削りなままでは惜しい。彼らがコーチング手法を身につければ、「鬼に金棒」ではないかと考える。頑固上司がコーチングを駆使することが、ビジネス飛躍の鍵であると思えてならない。

※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。