「水清ければ魚棲まず」
あまりに清簾潔白だと、かえって堅苦しすぎて人には親しまれないという意味のことわざです。江戸時代後期、老中・松平定信が“華美なものを廃し、質素に…”という寛政の改革に取り組んだ時期に庶民によって詠まれた歌だと言われています。「過ぎたるは、なお及ばざるが如し」であったのでしょう。
職場の人間関係でも同じことが言えるのかもしれません。例えば、あまりに的確な指導をする上司とその部下の関係。部下からすれば、そんな上司は頼りになる一方で、ちょっと距離を置きたくなったりはしませんか?悪意があるわけでもなく、真面目に部下に接しているだけなのに…。上司からすれば、部下から距離を置かれるのは疑問でしかありません。では、そんな両者が円満な関係を築くには、どうしたらいいのでしょうか。今回は上司と部下の距離感について、みなさんと考えてみたいと思います。
アベノミクスでも業績悪化
国内系企業からやむなく外資系へ
「誠意をもって部下に接しているのに、部下に避けられている気がする。どうしてなのだろうか?」
外資系製造業の営業部門で管理職をしているSさんは、悩んでいました。ただ、周囲には悩みを相談できる相手がいません。国内系の同業からヘッドハントされて間もないこともあり、頼れる上司や同僚がいないからです。ゆえに、1人、バーで飲みながら、愚痴を言うしかありません。こうした孤独感を持つこと自体が初めてなので、ストレスを発散する方法がわからないことも、悩みを深めているのかもしれません。
ちなみに前職では、「的確な指導をしてくれる、頼りになる上司」として評価が高い存在でした。ならば、前職を辞める必要はなかったはず…。それは、ごもっともな意見です。ただ、辞めざる得ない環境になってしまったのです。