それでも2人は子どもをあきらめきれず、不妊治療に踏み切ったそうです。過去の苦労を思い返せば、一樹さんは一点の曇りもなく満面の笑みを浮かべても良さそうですが、実際には少し苦笑いをしており、複雑そうな心境が垣間見えたのです。なぜでしょうか?

「お恥ずかしい話ですが……すでに財布がカツカツで毎月の支払いが苦しいんです。今回の体外受精ですが、当初、医療費は30万円ほどだと聞いていました。しかし、蓋を開けてみたら足が出ており、38万円もかかってしまいました。しかも、妊娠判定が出た後も、妻はホルモン投与を続けなければならないようで、薬代として毎月2万5000円かかるのですが、正直なところ、僕にとっては厳しい金額なんです」

 一樹さんは3年におよぶ不妊治療のなかで多額の費用が発生しており、妻が妊娠に至るまでの間に約84万円を負担しなければなりませんでした。結婚当初、一樹さんには全く貯金がなかったので、不妊治療を受けるにあたり、一樹さんの両親から30万円、そして現妻の両親から60万円の援助を受けたのですが、妊娠までの費用で援助金は底を尽いてしまったそう。「年金暮らしで余裕がないから、これ以上は無理だから」と、さらなる援助を両親に求めようにも、すでに断られてしまったとのこと。とはいえ当座の2万5000円すら捻出できないのでは先は思いやられます。

<不妊治療の費用>
1年目 約15万円
2年目 約13万円
3年目の半年間 約18万円
(病院へ変更し、再度、一通りの検査が必要になったため)
体外受精の準備として薬代、注射代、入院費等 約38万円
計 約84万円

「それだけじゃないんです。とりあえず不妊治療は終わったんですが、予定日までの間、妻は定期的に受診しなければならず、これからも医療費の支払は続いていきます。それから子どもが産まれた後、どうやって育てていけばいいか……妊娠の喜びよりもお金の苦しみで頭がいっぱいになっていて、妻には悪いですが、両手を上げて喜べるような心境じゃないんです」

 なぜ一樹さんはそんなにお金に困っているのでしょうか?一樹さんは会社員で年収700万円。どこにでもいる普通のサラリーマンです。年収に照らしてみれば、不妊治療の費用、出産の費用、そして子育ての費用を問題なく出すことができそうですが、何か特別な事情があるのでしょうか?

>>後編『慰謝料・養育費と不妊治療で毎月赤字 年収700万円バツイチ夫の憂鬱(下)』に続きます。

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