2週間に1度しか他人と話さない人も!
独居高齢者が陥る「孤独」
現在、65歳以上で一人暮らしをしている人は、日本全体で600万人と推計されている。調査によると、こうした独居高齢者の40.8%は2、3日に1度しか他者と会話をしていない。この傾向は男性に顕著で、16.7%は2週間に1度しか話をしていないという衝撃的なデータがある(国立社会保障・人口問題研究所「生活と支え合いに関する調査」2013年7月公表)。
病気になれば介護保険が適用され、訪問介護など様々なケアを受けられる。しかし今、シニアケアの世界で抜け落ちているのは、病気の一歩手前。いわゆる「未病」状態の人々への対処だ。
独居高齢者へのケアというと、まずは機械型を思い浮かべる方が多いだろう。センサー付きの家電で安否を知らせるもの、カメラを設置し生活状況を把握するもの、セキュリティ会社と契約し、いざというときは警備員が駆けつけるタイプ。どれも一長一短あるが、機械を使用しているので、どうしても“見張られ感”がある。離れて暮らす家族は安心できるだろうが、本人の満足度はどうなのか。
そんな中、新たに注目を集めているのが、会話型の見守りサービスである。これは訓練を受けた専門家(コミュニケーター)が、一人暮らしのお年寄りと定期的に会話し、体調や近況を把握するものだ。その先駆けが「つながりプラス」。週に2回、専属コミュニケーターが高齢者の自宅に電話をかけ、日々の様子を聞く。
ユニークなのは、どんなに遠くても初回はコミュ二ケーターが自宅を訪問。1、2時間かけてじっくりと、生い立ちやこれまでやってきた仕事、趣味、家族、現在の体調や病気のことなどを聞きだす。北海道から沖縄まで、この初回訪問は必ず行っている。
「知らない人から『元気ですか?』と問われて本当のことを話す人はいないと思います。実際にお会いして、その人を知った上で信頼関係をつくるのが、私たちのこだわりなんです。顔見知りになった担当者が電話をするので、皆さん、安心してお話しいただけます」と、運営する株式会社こころみの早川次郎氏は話す。
コミュ二ケーターは、会話術はもちろん、家族への報告を目的とした情報収集術、レポーティング記述法などの訓練を積んだ人ばかり。実技と筆記試験に合格した人だけが採用されている。