どの戦場でも「しまった」が圧倒的に多い
一方、こんな感想を持つ読者もいるかもしれない。
「なんだ、3つの敗北のうち、思考力で改善できるのはたった1つだけなのか……」
しかし、ガッカリしないでほしい。なぜなら9割以上の敗北は「しまった」によるものだからである。ビジネスの戦場に限らず、ほとんどの競争は、本質的に「しまった」の思い合い、思わせ合いなのである。
したがって、「しまった」を避けることこそが、あなたの勝率を高めるための最短ルートである。
なぜそう言えるのか?
人は「自分と同じ潜在レベルを持った人たちがいる戦場」に集まるからだ。
これは決して発想の戦場だけでなく、あらゆる戦場について言える普遍的なダイナミクスである。
野茂投手も日本プロ野球では相手から「まいった」の山を築き上げていた。メジャーリーグに入って初めて、「しまった」と「まいった」がバランスする状態になったわけである。
なぜ「できる人」から他社に転職していくのか?
もっと身近なところでは、学校や職場というフィールドでも、同じ調整力が働いていることに気づくだろう。
ある大学Aに集まるのは似たような偏差値レベルの人だし、ある会社Bに集まるのは似たようなレベルの学生たちである。
もし会社の中で圧倒的な結果を出し続け、まわりの人に毎回「まいった」と言わせている人がいれば、その人はいずれ他社へと転職したり、独立起業したりする可能性が高い。
つまり、自分のレベルに合った戦場に進むことになるのである。
なぜ一人勝ちをする環境に安住せず、わざわざライバルと競り合うことになる戦場を選ぶのか? 理由は簡単だ。
そのほうが得られるリターン(富・名誉)が増えるからだ。その結果、どの戦場においても「しまった=9割以上」が常態となるようなダイナミクスが働く。
逆に言えば、「まいった」の割合は、どこの戦場でもそれほど多くはない。
だからこそ、まずは「しまった」を減らすことこそが、あなたの勝率を高めるうえで最も効率がいいのである。
そして、そのための最短ルートが「思考力を磨くこと」なのだ。