──業態転換において三つのタイプを展開するとしています。

 今は、全国画一的なチェーンでは受け入れられない地域があります。どうしたら、多様化しているお客さまのニーズに応えられるか。実験で三つのパターンに分けました。

 一つは地産地消により、その地域に密着した店を目指す。二つ目がファミリーレストラン型で、アルコールや深夜営業だけに頼らず、家族連れに利用してもらうことを狙います。三つ目が専門メニュー型で、東京・新橋のニッポンまぐろ漁業団のように、専門料理に特化した業態です。

──まずは外食事業の既存店売上高が前年同期比で100%をクリアするのが必須だと思いますが、この下期から実現できそうですか。

 忘年会シーズンの宴会需要は、前年同期比で117%を取れていますが、フリーのお客さまを含めた全体ではそう簡単ではありません。

 従って、まずは足元を固めるべく、コストをかなり削りました。上期(15年4~9月期)も売上高が落ちているのに利益が改善しているのは、コスト削減によるものです。

 ワタミは、工場も含めた本社コストが大きいため、店舗段階では営業黒字でも、会社全体では営業赤字になってしまいます。そこで、本社に126人いた部課長を40人台にまで減らして店舗に配置し、利益貢献させる体制にしました。

 また今回、介護事業を売却して会社が3分の2の規模になりましたから、今までみたいな規模や仕組みは必要なくなります。もう食事一本の会社になりました。外食という箱で売るか、宅食という皿で売るかの違いはありますが、「客数×単価」だけの世界になりますから、経理も何もかもシンプルになる。だから、外食と宅食の事業会社を持ち株会社に合併させて一つにしました。

 まず営業損益だけでもゼロになれば、減価償却費ぶん現金ベースでは黒字になるので、危機的な状況にはなりません。

──営業損益トントンがゴールでいいのでしょうか。

 そうではありません。外食事業の既存店売上高を前年同月比で110%にして成長を目指すつもりです。外食事業で15億円の利益を稼げるところに持っていきたい。

 そのために、社内では120%を目指そうといっています。居酒屋市場のダウントレンドの中でも、業態転換した石巻酒場やまぐろの店では成果を挙げているわけですから、できない数字ではありません。

──屋号だけでなく、創業者の渡邉美樹氏とも決別するのでしょうか。

 創業者ですから、僕にとって良き相談相手であることにはなんら変わりはありません。尊敬も信頼もしているし、アドバイスをもらいにいくこともあるでしょう。しかし、経営については「任せた」と言われていますし、頼ることはありません。とはいえ、たまに一緒に飲むこともありますよ。そのときは和民を使ってもらっています。