10ヵ月の独学で「記憶力日本一」に

 さてチャレンジすることにしたのはいいけれど、その大会がいつ、どこで、どんな種目で行われているかもわからない、ゼロからのスタートでした。

 それでも、本やインターネットから調べた情報をもとに、大会本番までの10ヵ月間、独学で大会用の練習を続けました。

 そうして2013年の2月3日、記憶力日本選手権当日を迎えたのです。

 今思えば、どんなレベルの人たちがいて、自分がどのぐらいのレベルなのか全くわからない形で出場できたことが、良かったと思っています。つまり怖いもの知らずだったわけです。そのため周囲を意識することなしに集中して競技に臨むことができたのです。

 そして表彰式での結果発表。蓋を開けてみたら、自分でも驚くことに過去最高得点での優勝でした。

 この私が記憶力日本一になってしまったのです。

日本人初の記憶力グランドマスター

 チャレンジすること自体が目的だったので、日本選手権の後のことは全く考えていませんでした。ところが大会終了後、記憶競技の常連の方たちから、実は記憶競技のメーンの舞台は国際大会だという話を聞きます。

 マインドマップを発明したトニー・ブザン氏が設立した世界記憶競技協会(World Memory Sports Council)が、世界各地でオープン大会を開催しているとのことでした。

 海外の大会のことなど全く頭になかった私ですが、せっかく記憶力日本一になったのですから、記念受験というわけではないですが、一度どんなものか出てみようと思い、日本選手権から半年後の2013年8月にオーストラリアのメルボルンで開催されるオーストラリアオープンに参加することを決めました。

 国際大会は種目数が日本の大会の倍の10種目だったり、大会の進行は英語だったりとかなり大変だったのですが、結果、なんとその大会でも優勝することができたのです。

 こうしていつの間にか記憶競技の世界の住人になってしまった私は、次なる目標を探し、そしてそれを見つけたのです。

 それが日本人初の記憶力のグランドマスターの称号を得るというものでした。