ただやみくもに知識を詰め込むことが、勉強ではない。正しい勉強法を知っているのと知らないとでは、勉強の成果は一目瞭然。『出口汪の「最強!」の記憶術』が5万部のロングセラー。”受験の神様”ともいわれている出口汪さんを迎え、一生使える勉強法について語ります。(取材・文/狩野南 撮影/熊谷章)
「論理」と「アウトプット」で記憶を定着させる
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佐藤 出口先生といえば、私たちの年代にとっては“受験の神様”です。
出口 いえいえ、とんでもないです(笑)。
佐藤 私も先生の現代文の本や教科書で受験勉強してきたので、こうやって対談することになるなんて夢のようで、冷や汗が出ていますよ(笑)。
出口 いやいや、私も今回の佐藤先生の『ずるい暗記術』をとても面白く読ませていただきましたよ。
一見正攻法ではないようにみえて、その裏にはちゃんと「論理」があるし、脳科学に基づいた暗記術を提案されているなぁと思いました。
佐藤 ありがとうございます! 先生の『出口汪の「最強!」の記憶術』でも、論理と脳科学を記憶に結びつけられていますよね。
出口 そうですね。論理というのは、物事の筋道のこと。それがない状態でやみくもに暗記しても、脳に記憶は残らないし、知識としても使えないんです。佐藤先生は、勉強するうちに自然と論理力を鍛えていたんじゃないですか?
佐藤 そうかもしれません。ただ、私は、本にも書きましたけれど、高校時代は偏差値30で学年ビリ。勉強ができると、胸を張れるものではなかったんです(笑)。先生は学生時代、どうでしたか?
出口 私も勉強嫌いで劣等生でしたよ(笑)。3年浪人してるし。
佐藤 それは意外です!
出口 そんな私が変わったのは、予備校で生徒たちを相手に教えるという経験をしたから。ちゃんと筋道を立てて話さないと、理解してもらえないですからね。これが、覚えたことを整理するアウトプットとして非常に効果的でした。
佐藤先生の本にも「誰かと話すことで、整理化する」「一人二役の『自分プレゼンテーション』」というのがあるけれど、これもまさにアウトプットを通して論理化しているわけだよね。
佐藤 そうなんです。言葉にすることで頭の中が整理できるし、自分自身もしっかり覚えていきますよね。大学時代にやった塾講師のアルバイトも、いい経験になったような気がします。
出口 佐藤先生の「答えから見る」という方法は、そういった下地があるからこそ生まれたんだと思いますよ。答えをたくさん見ているうちに法則性が発見できて、何が重要かがわかる。そこからさかのぼって問題を見ると、その意図がより明確になるんですよね。整理ができているから記憶しやすいし、特に短時間で集中的に勉強するにはすごく有効なやり方だと思います。