週末の予定は決まりましたか? 特に予定もないし「昼寝でも」しようかな・・・、とちょっと小声になってしまう貴方、罪悪感は必要ありません、堂々と昼寝をしましょう。なぜなら「昼寝」にはすばらしい恩恵があるからです。
仮眠または昼寝をすることで、創造性につながる洗練されたタイプの記憶力が高まるという研究報告があります。
クリエイティブ(創造)は、簡単にいえば、新しく何かをつくりだすことですが、まったくゼロの状態から何かが生まれるわけではなく、内に蓄えられた経験に新しい関係性が与えられること、つまり過去の記憶から「新しい記憶」が創造されることであるとわかってきました。
昼寝の間にも、あなたの脳では記憶の“編集作業”がおこなわれているのです。
睡眠は「質」が大事
良く知られているように、睡眠は記憶の形成と定着に重要な役割をもちます。睡眠が奪われると記憶力が損なわれることがわかっています。しかし最近は、記憶との関係において睡眠の長さよりも「睡眠の質」に関心が集まっています。
特に注目されているのは「徐波睡眠(じょはすいみん)」と呼ばれる、非常に“深い睡眠”です。脳の睡眠として知られるノンレム睡眠の中でも深い睡眠段階です。これは、夢を見る睡眠段階として知られている「レム睡眠」の前に現れて、睡眠の前半で多く出現する傾向があります。
「徐波睡眠」の間に、脳は、記憶を形成して、さらに問題の解決や新しいアイデアを生み出すためにも働いています。ある意味で、果報ならぬ「良いアイデア」は寝て待て、かもしれません。
昼寝の間にも
脳は学んでいる
ニューヨーク州立大学のフィッシュバイン博士らが、この「徐波睡眠」を含む仮眠が、創造性につながる記憶の形成に役立つことを実験で確かめています。
実験では、英語を話し、日本語を全く知らない20人の大学生に、姉妹、母親、女中のような2個の漢字から成る熟語を教えました。その後、半分の学生だけが90分間の仮眠をとりました。研究者は、仮眠中の人々の脳を観察して「徐波睡眠」が出現していることを確認しています。
そして仮眠後、初めて見る別の熟語を提示して、その中から先に学んだ熟語と関連するものを選んでもらいました。すると、仮眠をとった学生の方が、正しく「猿」ではなく「姫」を含む熟語を選ぶ傾向がみられました。この結果は、仮眠をとった学生は、先に学習した熟語の最初の漢字 -- 姉、母、女 -- はどれも“女性”を意味する文字である、と無意識のうちに学んでいたことを示唆しています。