Photo by Mikio Usui
「2020年の東京五輪後も、インフラ投資により東京都心の発展は続く」
「アベノミクスのほころびが来年以降あらわになり、バブルがはじける」
今後数年間の不動産市場の見通しをめぐって、専門家の間でも意見が真っ二つに分かれている。
15年9月に公表された基準地価。三大都市圏(東京・大阪・名古屋圏)の商業地はリーマンショックで下落後、13年以降は上昇に転じており(右図)、都心の上昇幅が特に大きいことが話題となった。
とりわけ顕著だったのが名古屋(右表)である。27年のリニア中央新幹線品川~名古屋間開通を見越して、前年比45%増という“爆騰”ぶりだ。
東京でも、特に上昇幅が大きい銀座、虎ノ門では再開発プロジェクトがまさに進行中だ。大阪は、主にアジア地域からのインバウンド(外国人訪問客)需要の取り込みに成功し、ミナミの商店街やブランドショップが海外からの買い物客で沸く。
こうした活況を支えているのが、日本銀行による異次元の金融緩和だ。ジャブジャブとなった緩和マネーが投資先を求めてうごめき、規模の大きな不動産市場に流れ込んでいるのだ。
加えて海外の投資家も日本に熱い視線を送っている。地価が高止まりしているシンガポールや台湾、香港などに比べると、日本の不動産は出遅れ感があり、アジア勢にとっては賃料が上がらなくても投資妙味がある。
最近では14年10月、「パシフィックセンチュリープレイス丸の内」をシンガポール政府投資公社が1700億円で取得、15年8月には銀座の商業ビル「キラリトギンザ」をアゼルバイジャンの政府系ファンドが523億円で買った。こうしたど派手な取引が、地価押し上げに一役買ったのは間違いない。