昨夏、国民の期待を受けて誕生した鳩山政権。政権発足当初、73%もあった内閣支持率は、8ヵ月後の5月には21%にまで急落(NHK世論調査)。この逆風下に誕生した菅新政権は、国民の信頼を回復することができるのか――。

6月8日、新内閣を発足させた菅直人総理。NHKの世論調査による新内閣の支持率は66%と高い評価に。脱・小沢路線が功を奏したといえる。

 鳩山由起夫前総理大臣の突然の辞任。菅直人新総理大臣の登場。4年間で4人の総理大臣を生み出す“異常事態”のなか、今回の「追跡!AtoZ」は通常より30分長い、73分に番組を拡大し、「追跡!AtoZ スペシャル」として放送。「スペシャル」ということもあり、ゲストも通常より多い4人を迎えた。

 まず1人目のゲストは、民主党結成当初からアドバイスを行ない、最近は民主党の「ブレ」「政治姿勢」について厳しい批判も行なっている政治学者、北海道大学教授の山口二郎さん。続いて2人目は、外交・安全保障のプロフェッショナルで、「普天間問題」では橋本政権下で沖縄担当の首相補佐官を務めた、外交評論家の岡本行夫さん。3人目は、当時、知事として、いわゆる「現行案」を条件付きで容認した、前沖縄県知事の稲嶺惠一さん。

 4人目のゲストには、政権与党の立場としての「生の声」を語ってもらうため、民主党議員を想定。そこで放送前日の6月4日、代表選が終わった直後から出演交渉を開始した。放送当日の朝、ようやく出演を承諾して頂いたのが、民主党で選挙対策委員長や幹事長代理を務めた、玄葉光一郎さん(玄葉さんはその後、民主党の政策調査会長に就任。一躍「時の人」になっている)。

 この4人のゲストを交え、鳩山政権で問われ、菅新政権でも課題となるであろう3つのポイント「小沢氏の影響力」「普天間問題」「政治主導」について、様々な角度から議論を闘わせた。

『小沢氏の影響力』のゆくえ
~菅氏が選んだ「脱・小沢」路線

スタジオにゲストとして登場した、民主党の玄葉光一郎議員。「小沢氏からの脱却こそが民主党が変わるための条件だ」と語った。

 鳩山前総理の突然の辞任を受けた民主党代表選挙。菅直人氏を支持したのは、主に非小沢グループだった。その1人、玄葉光一郎議員は代表選挙の前日、小沢氏からの脱却こそが民主党が変わるための条件だと語った。

「最近の民主党は生活第一じゃなくて、選挙第一じゃないかと。民主党は原点に返らないといけないのではないか。いつのまにか古い自民党の派閥のような政党になってしまったんじゃないか」

 菅氏が立候補を表明した直後、小沢氏に距離を置く議員たちが菅氏を次々に支持。情勢は一気に菅氏有利に傾いた。そして民主党最大、150人ともいわれる小沢グループの動向が注目された。小沢グループは当初、対立候補の擁立へ動き、海江田万里議員や田中眞紀子議員に打診した。しかし、断られた。