株価が上下動する場合には
レバ型ETFは「下手な売買」になる

 図3に示したように、レバレッジ型ETFは「上がったら買い、下がったら売る」という順ばり戦略を自動的に実践している。順ばり戦略は株価が一本調子に動くときは有効だ。極端な例だが、株価が毎日上昇するなら日々買い増しすればより大きな利益が得られるし、毎日下落するなら日々損切りすれば最終的な損失は小さく済む。

 実際に、図5の期間Aは上下動を伴いながらもいわゆる「上げ相場」だったので、順張り戦略が奏功して2.07倍になった。また、掲載していないが期間Bの急落場面(8月18日~9月29日)では、「日経レバ」の下落率は日経平均の1.86倍なので相対的に傷が浅く済んだ。

 しかし、現実には株価が一本調子で動くことはまれで、普通は上下動を繰り返す。そのため「上がったら買い、下がったら売る」という投資行動は結果的に「下手な売買」になる。図5に戻ると、15年は大きく上昇と下落を繰り返したので、「日経レバ」を年初から保有し続けていた場合に日経平均の1.66倍しか値上がりしなかった。また期間Bは大きく下落した後に反発したが、最も下がった時点で先物のポジションを減らしていたため戻りを取ることができず、下落率は日経平均の2.12倍に拡大したのだろう。

 足元のように2万円手前でもみあっている間も「下手な売買」を日々繰り返している。空売りを利用しない普通の投資家の場合は、数週間以内に株価が上昇しそうになければいったん売却して下がったところで再び投資するなど、こまめな対応が望ましい。

 レバレッジ型ETFは短期もしくは超短期の投機性が高い金融商品だ。実際、運用会社は商品説明で「一般的に長期間の投資には向かず、比較的短期間の市況の値動きを捉えるための投資に向いている金融商品」と明記している。このようにレバレッジ型ETFは長期保有に適さないので、「NISA口座で非課税な5年間持ち続けよう」という使い方はお勧めできない。

 急速に人気商品となったレバレッジ型ETFだが、その仕組みや値動きの特性は思ったほど理解されていない。便利で優れたツールだけに、正しく理解して上手に利用したい。