多くの場合、日本の株価と外国の株価は同時・同方向に上下している。また、外国株式と外国債券に影響する為替レートと国内株式の関係も、近時、おおむね「円高なら、株安に」「円安なら、株高に」となっている。大雑把には、国内株で損が出ている時には、外国資産でも似たような損が出ている場合が多い、と考えていていい。今回も、NYダウは下落しているし、対ドルの為替レートは円高になっている(読者には、計算が大雑把すぎると腹を立てないでいただきたい。相場変動と公的年金の損得の関係を「実感」していただくことが目的なのだから)。

 ざっくり言って、GPIFが運用している公的年金の積立金は、株価(日経平均)が500円下がると2兆円、1000円下がると4兆円くらいの損が出ていておかしくないものなのだ。

 ついでに計算すると、公的年金の積立金の損得には、年金の現在の受給者、現在保険料を払っている加入者、将来の加入者、さらに年金財政の一部国庫負担を通じて納税者全般が関わっている。すなわち、最大の数で約1億2500万人が、この積立金を間接的に保有していると見ていい。

 つまり、「140兆円÷1億2500万人」と計算すると、国民1人当たり112万円の財産を、GPIFに運用してもらっている計算になる。厚生年金に加入している方、所得が大きな方は、実質的な影響はもっと大きいし、家族の分まで考えると、おそらくはダイヤモンド・オンラインの読者の大半は、これ以上の金額を運用委託しているつもりで物事を考えていいはずだ。

 前回の拙稿の標題(注;チェックはできるので書き手も責任を負うが、通常は、編集部が考えたものがそのまま標題になる)にあるように、公的年金の運用損に「怒り」を覚える人がいてもおかしくはない。

 ただし、その怒りは、正しい方向に向けるべきだ。

GPIFの「運用部隊」は悪くない
問題は「基本ポートフォリオ」にある

 前回の拙稿でも書いたが、昨年の7~9月期も、今年の年初も、「公的年金の運用損」の原因の大半は、先に挙げた「基本ポートフォリオ」にある。

 CIO(投資管理責任者)の水野弘道氏を筆頭とするGPIFの運用部隊に対しては、仮に、基本ポートフォリオから計算されるある期間の損失額が4兆円である場合、同じ期間の実際の運用損が3兆5000億円なら「上手くやった!」と褒めるべきだし、損が4兆5000億円なら「この期間の運用は失敗だった」と考えるのがフェアだ。