ほんとはマヨネーズものが得意です

 竹内さんは高円寺で20年間、スナックをやっていた。とはいっても雇われママで、結婚を機会に水商売をやめたのだけれど、旦那さんがパーティマニアで、毎晩、明け方まで自宅でパーティをする生活だったという。

「パーティに来た人たちから、奥さんの料理はおいしい。店をやったらいかがですかと言われて…。それなら、一丁やってみるかと物件を探すことにしました」

 物件はすぐに見つかった。JR線路のガード下である。食べたり飲んだりしていると、時に列車のガタンゴトンという音が聞こえる場所だ。だからといって、始終うるさいわけではない。

「うちの店に来る人は独身が多いんです。家庭料理を求めてやってきます。ですから焼き魚、野菜料理、煮物、そして、マヨネーズものを置くことにしました。マヨネーズものとはポテトサラダ、竹輪ときゅうりのマヨネーズ和え、マカロニサラダなど。いまの若い人の家庭料理って、煮ものではなくマヨネーズものなんですよ。すすめるのは野菜料理。私は常連さんでも初めての人でも、野菜を食べろって、うるさく言うんです。野菜を食べないと健康にならないよって」

 カウンターと小上がり、テーブルがある店だが、カウンターに座るのは常連だ。ぐびぐび酒を飲む人もいるけれど、焼き魚、野菜の煮物、マヨネーズもので夕食を摂っている人の方が多いように感ずる。

 そして、常連はみかん、お菓子、野菜、地方の名物といった何かしら土産を持ってくるようでもある。常連からの土産は店に滞留することはない。竹内さんが自宅に持って帰るわけでもない。いつのまにか店内にいる客におすそわけされる。そういうところも家庭にいるような気分になる。

 竹内さんは割烹着を着て仕事をしている。お母さんになったかのようだ。わたしたちは福福という家庭にいて、食事をする。帰る時になると、竹内さんは「さよなら」ではなく、「行ってらっしゃい」という。家庭から出ていくような気分で店を後にする。アットホームな店とは福福のことだ。

「メニューにはたくさん書いてありますけれど、カレー、ビーフシチューもやってます。そして、こういうのが食べたいと言ってくれればなんでも作ります。材料さえあれば作ります。ハムエッグなんかいつでもできますよ。ただ、できないのは高級料理。ごちそうは作れません。うちは普通のご飯の店です」 


「福福」

◆住所
住所 東京都杉並区高円寺南4-49-1
※中央線高円寺駅徒歩1分
◆電話
03-6796-9729
◆営業時間
11:30~14:00、18:00~24:00
水曜日&祝日休み