米モルガン・スタンレーなどは、2016年のiPhoneの出荷台数が前年を5%前後下回ると予測している Photo by Ken Fukasawa

 米アップルが放つ“毒”がまたもや、液晶メーカーの経営を直撃しようとしている。

「想定以上に、受注の谷が深そうだ」。中国におけるスマートフォンの流通在庫の膨張を発端にして、2016年1~3月期のiPhoneの生産調整の観測が出始めたのは、昨年12月初めごろ。

 もともと、生産量が減る時期ではあったが、あるサプライヤーによると、当初計画より3割前後も少なく、それまでフル稼働させていた生産ラインに「急ブレーキをかけざるを得なくなった」という。

 中でも、シャープをはじめとした液晶メーカーの苦悩は深く、アップルからの発注が一時ゼロになった13年初めの“悪夢”が、頭をよぎる。

 iPhoneの液晶は、シャープが4.7インチの「6s」を、ジャパンディスプレイ(JDI)と韓国LGディスプレイが6sに加えて、5.5インチの「6sプラス」も供給している。

 関係者によると、減産の割合は6sプラスの方が大きいといい、特にLGは液晶の供給先の6割がアップル向けと依存度が高いため、在庫調整の大きなリスクを足元で抱え込んだかたちだ。

 JDIも、アップルとの取引拡大を目指して、5月に新工場を立ち上げるだけに、大きな不安が付きまとう。12日には株価が300円を割り込んでしまい、上場来安値をあっさりと更新した。