留意点(2)辞めた後の会社の対応の予測
元の会社の妨害も想定しておくべし

 今のところ、木村拓哉氏以外のSMAPのメンバーが、事務所を離れること自体は、法的に可能であるように見える(違法や契約違反で訴えるという報道は見ない)。

 しかし、企業としてのジャニーズ事務所から見て、SMAPは「社員」(「所属タレント」なので社員と厳密には少し違うが)であると同時に、同社の「商品」でもある。

 仮に事務所を離れることができたとしても、メンバーは、事務所の営業活動がないとして、商品としての自分たちがどの程度の影響を受けるかを想定しておく必要がある。

 離れた後に、事務所から陰に陽にビジネス上の妨害を受ける可能性があるし、彼らにとっての「競合商品」の売り込みに力が入るなど、競争関係の変化についても考えておかなければならない。

 タレントのマネジメント事務所は、タレントを育てるまでに時間と手間をかけているので、売れたタレントが簡単に事務所を離れることができるようでは困る。もちろん、個人の建前上の職業選択の自由と両立する範囲でだが、「辞めたら、大変なことになるぞ」という抑止力が事務所に残っているタレントに働くように、行動するはずだ。

 具体名は挙げないが、芸能マネジメント事務所を辞めてから、すっかり人気を失ったり、出番が減ったり、端的に言って「世間の目から消えた」タレントは少なくない。

 ビジネスの世界でも、B社の重要顧客であるA社の社員が、B社に転職しようとした場合に、A社がB社に対して「うちの社員を採ったら、御社に対する発注を停止しますよ」と脅しをかけて、転職案件が流れるようなケースがあるし、そもそもB社は、A社の社員を採ることをはじめから遠慮する場合が多い。

 グループ転職の場合、辞められる会社にとっての影響は個人の場合よりも大きい。辞めた会社がその後どのように行動するかに関する想定は、可能な限り周到に行う必要がある。

 SMAPの場合、共演者があってはじめて成立する出演機会が多いので、芸能界で影響力の大きなジャニーズ事務所の将来の行動を、相当に深く先読みしておく必要があったはずだ。

 ビジネスの世界でも、辞めた会社の協力無しに、最終製品やサービスが成立しないようなケースでは、代替できる部品やデータ、サービスなどが調達可能であるかなどを検討してから転職に踏み切るべきだ。