これ以外にも、輸出金額と人民元の対ドルレートの変化に対する柔軟性分析を行うと、元安はたしかにほとんどの商品輸出を後押しする作用があるが、柔軟性は比較的小さく、すべて0.2%以下である。

 つまり、元の実際の有効レートの下げ幅は1%だとしても、それによりもたらされる商品輸出の前年同期比増は0.2%以下である。同時に、元安という好条件は、顧客の値切りなどの要素により相殺されてしまう可能性もある。

 元安は企業の手元にある注文書からすれば、利潤を一時的に増加させるものであるが、のちに続く注文書では、弱者の地位に置かれた中国の加工企業にとって、元安によって生まれた利益は国外顧客の「未払い勘定」となり、買い叩きによって、元安によって増えたコストを中国企業に転嫁させられるかもしれない。このため、元安による利益の企業利潤に対する貢献は弱められるだろう。

中国の低コスト輸出という
強みはすでに喪失

 現在、中国は紡績業を代表とする従来の労働集約型・輸出志向型企業は、労働コストの上昇の影響を受け、特にローエンド製品の一部のシェアはすでに大幅に縮小しており、海外市場からの注文も東南アジア国家などに奪われ、一部の労働集約型企業はさらに生産拠点を中国の東南沿岸部から撤退させている。

 今回の人民元の短期的な小幅安もこれらの産業移転のトレンドを止めることはできず、従来の輸出志向型企業が中国の輸出全体に占める割合は下がり続け、元安がもたらす輸出の好条件の作用も限られたものとなるだろう。

 全体としていえば、短期的にみれば元安はある程度、輸出を後押しする作用があるだろうが、世界的な景気の下落傾向、輸出の為替相場の変動に対する柔軟性の低さ、低コストという強みの喪失、海外需要が楽観視できないなどの要素により、中国の輸出はやはり低迷を続けることだろう。

 関係指導者によれば、政府には元安政策をとって輸出を促進する意図はなく、為替レートメカニズムを整備しようとしており、輸出型企業が実質的な改善を実現したければ、そのカギはやはり輸出製品そのものの競争力を上げることにある。