オーストリア=ハンガリー帝国生まれの作家フランツ・カフカは、生前未発表の古典『万里の長城』で、万里の長城の建設目的と理由を解き明かそうとした。カフカの目には、長城は誰の目からも見えるが、このような城砦(じょうさい)を建設した意義を明確に説明するのは大変難しいと映った。
皇帝が北方部族の襲来を防ぐために建設を命じたという人もいる。しかし、カフカは中国の皇帝の意図は、奇想天外ではないと感じた。皇帝が命じる前に、関連した考え方がすでに存在していた。北方部族への備えというのは長城建設の本当の理由ではなく、正解は中国文化そのものから探し出さなければならない、と考えた。
時は流れて、2016年1月に飛ぶ。中国証券監督管理委員会(証監会)は証券制度上の万里の長城を構築した。サーキットブレーカー制度である。この制度は「自動相場停止制度」とも呼ばれ、株の値動きが規定の限界点を越えた時、取引所はリスクをコントロールするために取引の一時停止措置を取ることを指している。しかし、残念なことに、この証券制度上の万里の長城は、北京郊外に2000年以上も聳え立っている燕の長城と違って、わずか4日で倒壊した。
秀才が構築した
サーキットブレーカー制度
サーキットブレーカー制度の停止後、「財新ネット」の張楡記者は記事で、次のように書いた。「サーキットブレーカー制度には意見聴取の段階で、様々な意見が出ていた。業界は取引の持続性、変動性について憂慮を示したが、最終的に法案に十分盛り込まれず、この制度は懐妊半年、享年4日の短命政策に終わった」。
昨年5月以降、中国の株価指数先物の1日当たりの振幅が次第に拡大し、「極端相場」が頻出し、サーキットブレーカー制度の導入を求める声が強まった。株価暴落後、市場改善の緊急システムとして、国際経験を参考にして、多くの専門家、学者が株取引サーキットブレーカー制度の導入を提起した。
8月末になると、早い段階で取引所が上級監督層に提起していたサーキットブレーカー制度構築に関する報告が、何度も書き直されてから、最終的にトップレベルの決定を経て現行の規則が選択された。新華ネット、中国証券報等がこもごも同制度導入の必要性を論評した。