運転手(65歳)は、バス会社・イーエスピーに昨年12月に契約社員として入社したばかりだった。それ以前に5年間勤めていたバス会社では小型バス・近距離を専門に乗務し、イーエスピーに入社する際、「大型バスに慣れていない」などと説明していたという。入社後は大型バスの研修を2回受けていたが、研修ルールやチェック項目はなかったようだ。交代要員として乗車していた正社員の運転手(57歳)は健康診断を受診していたが、この運転手の受診はなかった。

 また、同社は昨年2月の国土交通省立ち入り操作で、運転手の健康診断や入社時の適性検査を行っていなかったことから、事故の2日前にバス1台を運行停止する行政処分を受けていた。

 慣れない大型バスの運転をしなければならなかった背景にあるのは、人員不足だろう。外国人観光客の増加が嬉しいニュースとして報じられる一方で、ツアーバス運転手の人材不足や高齢化が深刻な問題となりつつある。

 さらに、旅行会社から発注を受けるバス会社は、発注を請けるためにギリギリの価格を受け入れてしまうこともある。吹田スキーバス事故のような「下請けいじめ」とまではいかなくても、最も現場に近いバス会社にしわ寄せが来る。今回の事故は、バス運行を行ったイーエスピー、ツアーを企画したキースツアーのほか、キースツアーからバスの手配を請け負った旅行会社、ツアーに同乗した旅行会社の4社が関係していたが、4社間での必要事項の伝達も疎かになっていた可能性がある。

「こんなバス会社は危ない!」
旅行関係者が吐露する本音

 今回の事故に関して、思うところのある業界関係者は少なくないだろう。旅行会社に勤務する人からはこんな声が寄せられた。バス会社を手配する際に、「このバス会社は危ない」と感じることはあるという。

「料金的に非常に安いバス会社は危ないと感じる。その他、バスが古い、社員の言葉遣いがなっていない会社、出発1週間前になっても打ち合わせをしない会社、事前に当日の乗務員が確定しない会社、連絡がつきにくい会社など」

「手配の際に引受書などの書面の取り交わしがない。旅行会社がバスに対する専門知識がなく、無茶なお願いをすることがあるが、そういった際に断らない。または断る際の説明が明確ではないとき」