背が高く、カッコいい男性や、品よく美しい女性がトップとして前面に立てば、企業に好印象を抱く人は増えるだろう。国家に、経済力や軍事力などの「ハードパワー」と、文化力などの「ソフトパワー」が必要であるように、企業にとっても、トップの見映えという「ソフトパワー」はとても必要なものなのである。

 最近はM&Aも多い。会社の垣根を越えて仕事をすることも普通にある。社員の流動性も高くなっている。社内でも昔ほどの濃密な人間関係ばかりではなくなっている…などの事情から、第一印象、つまりは見映えが昔より一層大事になっているのだ。

 このように考えていくと、「容姿端麗」や「背が高い」と明示して良いかどうかはともかく、「人から好感を持ってもらえる容姿」を持っているというのは十分トップや役員の要件として合理性があると言えるだろう。

「見映えのトップ」と「真の実力者」は
本当に力を合わせられるのか

 そろそろ冒頭の話に戻ろう。件のオーナーは、「見映えのいいAさんを社長にし、頭の切れるBさんを副社長にして、二人が役割分担をして会社経営をしてくれるのが一番いい」という結論にたどり着いた。「外向けのスポークスマンと真の意思決定者が違ってもいいのではないか」という考え方だ。私もこれは非常にいい案だと思う。ただし、そのコンビが本当に「機能する」という条件付きではあるが。

 この役割分担を機能させるのは容易なことではない。まず、社長候補のAさんには「社長として『会社の顔』を演じる俳優的役割こそが自分の仕事である」と深く理解してもらわないといけない。しかし、たとえ形式的なものであっても、「社長」という権力を手に入れた人間が、俳優としての役割だけに満足することができるだろうか。