「責任」とは、
「孤独」を解放すること
神田 はい。あと、今回の執筆中に、もうひとつ大事な発見がありました。
それは、「責任」とは「孤独」を解放すること、ということです。
記者 う~ん、どういうことですか?
神田 この20年で数多くの書籍を書いてきましたが、それに気づいたのは今回が初めてです。「責任を取る」というのは一見大変そうですが、責任の重さをチームみんなで分担することでチームの結束が促され、目標へのコミットが各自強くなる。その結果、みんなが頑張って、リーダーの負担が大幅に軽減される。だから、「責任とは孤独を解放すること」なんだと……。
記者 おお! 神田さん、深いですね! 哲学の本に出てきそうな言葉じゃないですか!!
神田 このタイトルで本にしたら、『嫌われる勇気』くらい売れないかな? 売れないか……。17年前に私が開発した「PASONAの法則」を、自信を持って誤解なく説明できるようになったのも、最近です。ですから、今回、初めて書籍化してみました。書いてみて、やはりそれだけの年月が必要だった、としみじみ思います。
記者 それは楽しみですね。
ビジネス書の「オールインワン・ブック」!?
神田 執筆はいつも孤独の連続です。本質的なものをとらえずに、表面的なものを追っかけただけでは深い本にならないし、売れない。
『稼ぐ言葉の法則』は、私自身の内面と深く向き合い、お客さんのことを必死に考えながら書きました。
書籍にはあえて書きませんでしたが、このオンライン読者の方だけにこっそり明かすと、この本は、マーケティングやコピーライティングの本のように見えますが、実はそれだけではありません。
表面的にはそう見えるのですが、深層的には、
(1)マーケティング、(2)マネジメント、(3)リーダーシップ、(4)アントレプレナーシップ(企業家精神)、(5)アドミニストレーション(管理)、(6)セールス、(7)起業ノウハウのすべてを網羅。ビジネス書20冊分プラス2年のMBA課程のノウハウを、たった1冊192ページにガッチャンコ! まさにビジネス書の「オールインワン・ブック」なのです。
記者 「ビジネス書のオールインワン・ブック」!? そんな本は見たことがありません。ずいぶん大きなことをおっしゃいますね。本書を出版しようと思った最大の動機は何ですか?
神田 この20年間で数万人の経営者、起業家、ビジネスパーソンの方々のコンサルティングをしてきましたが、「PASONAの法則」を表面的に利用し、手っ取り早くお金儲けをする人が増えてきてしまった。悪い品物でもコピーだけで売れてしまうときもある。開発者としてそんな現実にずっと心痛めていた。だから、その現実を断固食い止めたいと思ったのがひとつ。
もうひとつは、深淵なメッセージを分厚い本にするのではなく、可能な限り面白くてすぐに使える書籍にしたかった。200ページ以内(実際には192ページ)でサクサク読めながら深いメッセージが潜んでいる。そんなビジネス書の「オールインワン・ブック」をつくろうと思ったわけです。
記者 なるほど。