しかし、民泊と同様にこれもおかしな話です。AIはそれを使う人が増えれば増えるほどスパイラル的に進化するので、研究者などの個人が企業と組んであらゆる分野で実ビジネスとして実践できてこそ、日本のAIのレベルも向上します。でも、現行の規制の枠組みの下では、それが難しい分野が多いと言わざるを得ません。行政対応に手慣れた大企業ならともかく、そうした経験のない個人やベンチャー企業にとっては尚更です。

 しかし、クルマの自動運転もそうですが、既存の規制の枠組みの下でAIへの対応を考えたら、AIの日本での進化が遅れるだけです。欧米諸国では研究者と企業がタッグを組んで猛烈な勢いで実証的な実験を繰り返していることを考えると、日本はこの分野でも勝てずに貴重な新規ビジネス創出の機会を失ってしまうのではないでしょうか。

このままでは日本は第4次産業革命に乗り遅れる

 安倍政権は“成長戦略”という言葉を使わなくなり、また先日の安倍首相の所信表明演説でも“規制改革”という言葉が登場する回数は少なく、“特区”に至っては使われてもいません。こうした事実が示すのは政権の改革姿勢の後退に他なりません。

 民泊への対応を巡る議論を見ていると、官邸主導で決めたとは言え、実態は官邸にいる官僚が関係省庁と相談してまとめただけです。つまり、形だけは官邸主導ですが、実態は霞ヶ関に丸投げなのです。その一方で、イノベーティブでないけど役所と仲の良い大企業が恩恵をこうむれる振興策ばかり講じているようでは、日本は確実に第4次産業革命にも乗り遅れるでしょう。

 政権が本当に経済成長率を引き上げたいなら、そろそろ官僚任せを止めてマジメに政治主導の経済運営を行なうべきではないでしょうか。