地方の企業がほしいのはシニアじゃない!
でも若者は都市部から帰ってこない

 前出の佐賀県を例に考えてみましょう。佐賀県における昨年12月の有効求人数は1万6013人で、前年同月に比べて18.4%増えています。しかし有効求職者数を見ると、1万4524人で0.4%増加に過ぎません。求人数が増えたときにこそ、求職者不足が顕著になります。

 しかも20~30代の若手人材の求職者が全く足りていません。日本商工会議所の行った『人手不足への対応に関する調査』でも、地方の会社が求めているのはシニア(「不足している」と回答した企業は12.4%)ではなく、社会人経験のある「一定のキャリアを積んだミドル人材」(「不足している」と回答した企業は67.9%)であることが明らかになっています。

地元を離れた若者をUターンさせる秘策「30歳の大同窓会」日本商工会議所『人手不足への対応に関する調査』より

 新卒社員をゼロから育成する余裕はなく、ただし将来に向けて長く戦力として活躍できる人材が欲しいのが本音です。もちろん都市部でもそのような人材が簡単に採用できるとはいいません。ただ、地方は都市部と次元が違います。「可能性がゼロに近い」と断言する人もいるほど深刻なのです。

 ある地方で製造業を営む会社の社長に話を聞くと、

「そもそも20~30代の社会人が地元には少ない。中学生、高校生はそれなりにいるのに、どこにいってしまったのだろうか…」

 と若手人材に出会えないことを嘆く気持ちを語ってくれました。

 この社長のように、若手人材を採用したくてもできないという声があらゆる地方で叫ばれているのです。その理由は明らか。地方にキャリアを積んだ若手人材が不在なのです。中学・高校まで地元で過ごした若者たちは多くが都市部の大学に進学。さらに、そのまま都市部で就職して地元に戻らないため、地方には社会人として求人しても応募する人材がいません。