(撮影:住友一俊)
あなたの保険500万円安くなります──。これが、保険マンモスのキャッチフレーズだ。
一生のうちで住宅に次いで高額の買い物といわれる保険だが、「自分の加入している保険の中身を把握していない人が多い」と古川徹は言う。
保険マンモスは、保険相談を申し込んだお客に、独立したファイナンシャルプランナー(FP)を紹介し、数多くある保険会社の商品の中からその人のライフプランに最も適した保険を選んで組み立てる。
保険内容の理解が不足したまま、3つ4つと複数の保険に加入している人は多い。中立的な立場のプロが診断して、加入保険を見直すことで、冒頭の言葉どおり「生涯の保険料支払額が数百万円単位で下がるケースが多い」と古川は言う。
保険マンモスは2005年、ソニー生命保険でトップセールスマンだった古川が設立した。保険は人生に必要なものだが、営業マンによる押し付け営業が多い。「普通の買い物にしたい」という思いからの起業だった。
聖飢魔Ⅱドラマー
大企業サラリーマン経て保険のセールスマンに
古川の経歴は異色だ。
現在のスーツ姿からは想像しにくいが、早稲田大学在学中は、ロックバンド「聖飢魔Ⅱ」のドラマーだった。大学時代は1日8~10時間、音楽部室にこもりドラムをたたき続けた。卒業後はプロを目指すつもりだったが、プロの世界をのぞいてみて、音楽家としての自信が揺らいだ。一転、サラリーマンとしての人生を選択した。
大学卒業と同時に旭化成に入社、8年間勤めた。だが、安定志向の大企業の中で、息苦しさを感じるようになった。
そんな折に舞い込んできたのが、ソニー生命の営業マンとしての転職話。興味を引いたのは、ファイナンスをコンサルティング営業するという仕事内容と、評価制度が完全実力主義だったことだ。保険は人生とのかかわりが深い。日本のいびつな保険マーケットを改革しようというソニー生命の社風にも引かれた。
ソニー生命に転職し保険営業マンとなった古川は、トップセールスに躍り出る。約4000人の営業マンの中で年間コンテストである「社長杯」を7年連続で受賞。最高職位であるエグゼクティブライフプランナー(部長)にも昇格する。当時の年収は5000万~6000万円にも上った。
一方で、保険のマーケティング手法への興味が高まった。米国などの海外では、保険はインターネットによる集客が主流になっていた。ソニー生命を辞める最後の1年間は、マーケティングの研究に没頭した。