高速バスや飛行機を使ったゼロ泊3日の旅行商品をよく見かける。じっさいに利用したことがある方もおられるだろう。「弾丸」と呼ばれる旅行スタイルのことで、往復を夜行便とすることで宿泊料金を節約しつつ、現地滞在時間を長く取れることを売りにしたプランだ。しかし、座席型の夜行便にほぼ間違いなくついてくるのが寝不足のきつさ。往復夜行となればなおさらだ。

 現在人気の「弾丸ツアー」は何だろうか?Google検索をかけてみると、「はてなキーワード」に続く2件目に表示されるのが「弾丸フェリー®/フェリーさんふらわあ」。大阪南港/神戸港~別府/大分・志布志(鹿児島県)間をひと晩で行き来する「さんふらわあ号」を利用したもので、大部屋なら、なんと1万円で往復できるのだという。

さんふらわあの「弾丸フェリー」。2人で個室利用でも合わせて往復3万円から、という料金設定だ。マイカーやバイクも通常より割安で乗せることができる

 バスでも飛行機でもなく、長距離フェリーを利用した商品が実質トップでヒットするというのは意外だったが、フェリーならではの良さがあるに違いない。というわけで昨年の晩秋に、家族サービスを兼ねて乗船してみた。

 乗り込んだ「さんふらわあ号」は大阪南港を金曜夜19時55分に出発した。遠ざかる港の夜景を眺めつつ、デッキで缶ビールで乾杯。階下に降りればレストランも大浴場もあり、ホテルのような夜を過ごすことができる。そうしてデッキと船内を行き来するうちに明石海峡大橋が近づき、橋をくぐる夜景を堪能してから船室に戻り、横になった。

 今回は個室をとったが、筆者は大部屋もバイクの旅で何度も利用している。修学旅行のように畳敷きの広い部屋で寝るわけだが、布団で手足を伸ばして寝られる快適さは格別で、夜行バスとはまったく別次元だと感じる。

 翌朝7時45分に別府港に到着。コインロッカーにキャリーバッグを入れてバスに乗り、市街地での朝食後、またバスで鉄輪地区に行き、「地獄めぐり」の8カ所すべてを回る。さらに外湯にもつかってからバスで別府市街に戻り、居酒屋で名物のとり天や関アジ、地元の焼酎を堪能してから港に戻って19時35分発の船に乗り込む。波の穏やかな瀬戸内海なので帰路も船酔いとは無縁。大阪南港に日曜朝7時35分に帰着した。