三井不動産に続いて、住友不動産も横浜市の欠陥マンションの全棟建て替えを検討すると表明した。全国のマンション住民の不信感が渦巻く一連の問題は、ゼネコンの経営をも大きく揺さぶっている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 岡田 悟)

 マンションの一部に欠陥が見つかれば、全棟建て替える──。こうした流れが現実味を帯び始めている。

横浜市・三ツ沢公園のマンションで「杭未達」が判明したのは2014年。その後の都筑区のマンション問題で、方針転換を迫られた Photo:KYODO NEWS/amanaimages

 昨年、全国のマンション住民を不安と不信の渦に陥れた、横浜市のマンションの「基礎杭」問題。注目を浴びた横浜市都筑区「パークシティLaLa横浜」は、全棟の建て替えに向けた協議が進んでいるが、その余波が他の欠陥マンションにも広がっている。

 LaLaの問題発覚の約1年前、2014年に欠陥が発覚した同市西区のマンション「パークスクエア三ツ沢公園」(262戸)。販売主の住友不動産と施工した準大手ゼネコン熊谷組が全5棟の建て替えの検討を始めると明らかにした。

 三ツ沢公園のマンションでも当初、問題になったのは杭で、施工不良により杭が地下の強固な地盤「支持層」に達していないものがあると判明。うち2棟では構造上の危険性があるため、横浜市から是正勧告を受けている。

 とりわけ危険性が高い「B棟南」は全住民が退去する事態となり、この棟は建て替えるが、勧告を受けたもう1棟を含む残り4棟は補修で対応する方針だった。

 ところが、不安に駆られた住民が、マンションの地下で配管などを収める「ピット」と呼ばれるスペース内を確認したところ、コンクリートのひび割れを発見。昨年11月に住不や、工事を手掛けた熊谷組に調査を依頼した結果、速報値ながらも、コンクリート内の鉄筋の不適切な切断が約20カ所見つかったという。

 理由は「コア抜き」と呼ばれる作業の不備。これは、本来なら配管などを通すためにコンクリートの施工時に開けておく「スリーブ」と呼ばれる穴を、施工後に開ける作業のことだ。その際、コンクリート内を通る鉄筋を避けて穴を開けるか、鉄筋を切断した後に補強する、もしくは切断したままでも安全性を保てるかどうかを確認する必要があるが、その作業を怠っていたものとみられる。