「いいんですよ、ぼくはね、そのためにこの番組がなくなっても――」
先日、久米氏は放送中にこう言ってのけた。「ニュースステーション」の司会者としてテレビジャーナリズムの一時代を築いた「テレビ界の天才」にこうまで言わせるのはなにか。 

 だが、こうしたビッグネームの発言にも関わらず、テレビ・新聞の「一流メディア」は、この「マスコミ官房機密費」問題についてほとんど完璧に沈黙を貫いている。仮に、海外のメディアだったら、税金の一部が「賄賂」としてそれを追及するはずのマスコミに流れていたとわかったら「大キャンペーン」となっていることは間違いない。だが、記者クラブのある日本では、記事や番組で真正面から取り上げているのは皆無であることが不思議だ。

大新聞・テレビはごく一部を除き
相変わらずの狸寝入り

 例外は、TBSの「ニュース23 クロス」で、マスコミの問題を微妙に避けながらも、松原耕二キャスターが最初に、そして執拗にこの問題を追及している。また、「東京新聞」の特報部は、5月21日に一度だけ記事にしている。ただし、わずかにこれだけである。いったいなぜマスコミはこの問題を避けるのだろうか。

 いまや、新聞のテレビ番組欄に名前が載っただけで視聴率が跳ね上がり、著書も飛ぶように売れるジャーナリストの池上彰氏もまた、この問題にもっとも理解のあるひとりだ。

 かつて、私が「記者クラブ問題」を追及して孤立している時、自身のFM番組にいち早く呼んで生出演させてくれたのも実は池上氏である。今回も、朝日新聞の自身のコラムで、真正面からこの問題を取り上げた(5月28日)。

〈(マスコミに機密費が渡ったことが)もし事実だとすれば、日本のジャーナリズムにとって深刻なことです。政府から機密費を受け取っていたら、政府の批判はしにくくなるでしょう。(略)こんな重大な問題なのに、朝日新聞を含めて新聞やテレビの追及はほとんどありません。どうしてなのでしょうか〉

 こう書いた上で池上氏は次のように結んでいる。