都市としての物流効率を考えるならば、狭い道路に価値はありません。整った大通りに面する矩形(くけい:四角の集合体)の敷地があって初めて、大規模で効率的な建物は建築しえるのです。東京都心にその適地は極めて限られます。東京の道路の8割方は細い裏通りで、土地は不定形・バラバラに細分化されています。

 結果、高層ビルの本数はマンハッタンの4400本に対して、面積的に等しい東京都心4区では540本。空間の活用度合いが8倍違うともいえるでしょう。

 もちろん道路改造のチャンスは何度もありました。未曾有の国難でもあった関東大震災と第二次世界大戦後。これら天災・人災は意図せずして焼け野原の東京を創り出し、効率的な都市インフラ整備、東京大改造の絶好の機会となりました。

 しかし我々はそれを活かせませんでした。すべての幹線道路を40m幅とする東京戦災復興都市計画は、シャウプ勧告(*4)やドッジラインの影響もあって頓挫し、切れ切れの「環状道路」があとに残されました。以降、つくられるのは田舎の「新しい」道路ばかり。

 35年前に策定された東京の道路整備計画が完成するのは、今から55年以上後とか。作り続けること自体が「祈り」となる宗教建築(*5)ならまだしも、現実社会の改革に100年掛かってどうするのか……。それは、出来ないことのツケを次世代に押しつけているだけの話です。

戦うための組織には、強烈なインフラが必要となります。しかしそれは自然に出来るものでもなんでもありません。それを実現するものは、ひとえにヒトの意志の力なのです。

 100年でなく、10年後の凱旋(triumph[トライアンフ])を期して、我々が今為すべきインフラ改革とはなんでしょう。今の組織で、仲間で、あなたにはそれが見えていますか。

*4 米 租税法学者カール・シャウプを団長とする日本税制使節団がシャウプ使節団。GHQに対し1949~50年、日本の税制に関する報告書「シャウプ勧告」を提出した。
*5 スペイン・バルセロナのサグラダ・ファミリアは、アントニオ・ガウディの設計以来、100年近く建設が続いている。

参考情報・サイト
「パリの城塞の歴史」ペリーヌの居たパリ 百年後を歩く
「東京の戦災復興計画と幻の百メートル道路」堀江興(1998)

お知らせ

 2016年第一弾として1月末発刊の『「ハカる」力』(ディスカヴァー21)、好評です。お陰さまで増刷となり2万部を超えました。顧客の真実を知るための見る技術についても解説しています。ぜひ、ご活用ください。

 写真は3/28開催の中高生向け「発想力」講座です。主催はAO義塾の斎木さんで、中高生と楽しく3時間の集いでした。


 また、記事へのご質問・ご意見などはHPまでお寄せください。Official Websiteの「お問い合わせ」で受け付けています。