日本の人口は今、何人くらいか、君は知っているかな。2010年の国勢調査を見てみるとだいたい1億2806万人。でも、この人口はこれからどんどん減ってしまうんだって。
国立社会保障・人口問題研究所では、将来の人口について3つの見方で予測を立てている。このうち、「中位推計」――人口の増減が中程度と仮定した場合の予測――を見てみると、2030年には1億1522万人、さらに2060年には8674万人となっている。これは、第二次世界大戦後の人口とほぼ同じ規模だ。
どんどん人口が減り、縮んでいく日本の社会。いったい私たちの行く手には何が待ち受けているんだろう?
――この連載では、高齢になった未来の私たちのため、そしてこれからの時代を担うことになる子どもたちのために、日本の将来をいろいろな角度から考察していきます。子どものいる読者の方もそうでない方も、ぜひ一緒に考えてみてください。
野村総合研究所
社会システムコンサルティング部長 主席研究員 神尾文彦さん
インフラ産業コンサルティング部 グループマネージャー 宇都正哲さん の話
危険地帯と化す「首都高速」
「地下鉄銀座線・新橋~浅草区間」
野村総合研究所 社会システムコンサルティング部長 主席研究員。1991年、慶応義塾大学経済学部卒業。社会、都市インフラ分野における国・自治体等の政策提言、官民連携ビジネスの振興に関わる。主な著書に「社会インフラ次なる転換」(東洋経済新報社)「業界再編Now&Future」(日経BP)「2010年の日本」(東洋経済新報社)など。
うと・まさあき
野村総合研究所 インフラ産業コンサルティング部スマート・シティ&鉄道・不動産・建設・住宅グループマネージャー。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。日本大学経済学部非常勤講師。都市、インフラ、水ビジネスに関する政策調査、政策制度設計から、事業構想・事業戦略の策定、さらに投資戦略、投資案件DDなどをトータルにサポート。
目が覚めたら水道の蛇口をひねり、清潔な水で顔を洗う。熱いシャワーを浴びて着替え、いつものようにバスで駅に着くと、通学電車は時刻表通りに到着。電車は橋を渡り、高速道路の下をくぐり抜けて、スムーズに安全運転を続ける――。
僕たちにとっては、ごくあたりまえの朝の風景だ。蛇口から流れ出す水が赤さび入りだったり、シャワーのお湯が出なかったり、なんてことはそう考えられないし、橋や道路がいきなり崩落する、などということもありえないよね。
だけど、2030年頃にはそんな平和な日常が一変している可能性が高いんだ。というわけで、今回は目前に迫った「インフラ・クライシス(公共設備の危機)」について考えてみることにしよう。