トランプ大統領誕生なら
米国の覇権国家転落は決定的

 トランプは、「経済的支援を減らす」「軍事的関与も減らす」としている。これは、自分から支配力の源泉、つまり覇権を手放すのと同じである。「金も出さない、軍隊も出さない国」のいうことを聞く国があるだろうか? 聞くはずがない。「誰もいうことを聞かない国」を覇権国家と呼べるだろうか? 呼べるはずがない。

 つまり、トランプは、知ってか知らずか、「米国は覇権国家をやめる!」と宣言しているのだ。

 実際にトランプが大統領になり、「有言実行」したら、世界はどうなるのだろう? まず、各国は米国の束縛から解放され、自由に動くようになるだろう。欧州は、ロシアと敵対するよりも、和解する道を選ぶ可能性が高い。

 中東はどうだろう? トランプはプーチンに「中東の平和維持」を依頼するかもしれない。あるいは、スンニ派のサウジアラビア・トルコなどと、シーア派のイランとシリア・アサド政権の大戦争が勃発するかもしれない。

 米国に見捨てられた韓国は、走って中国の属国になるだろう。さてこんな中、日本はどうするのだろうか?

 もう一度、トランプ発言の重要ポイントを見てみよう。

1、日米安保条約は、米国が攻撃されても、日本は米国を守る義務がない「片務的な取り決め」である。
2、日本が米軍駐留費用を大幅に増やさなければ、米軍を撤退させる
3、日本が北朝鮮などの脅威から自国を守るために、「核保有」を認める

 1については、安倍内閣が「集団的自衛権行使」を容認することで、「片務的」現状を、「双務的」状態にする努力をつづけている(3月29日、安保関連法が施行された)。トランプが大統領になれば、「憲法改正」も支持してくれるのではないだろうか? 「日本が自分で自国を守れる状態になること」は、「米軍の負担を減らす」ので、米国の「利益」だからだ。

 2については、「米軍を撤退させる」という言葉に喜んでいる日本国民もいるだろう。日本では近年、「米国が諸悪の根源。米軍が撤退すれば、すべてうまくいく論」が、流行っている。しかし、「今米軍がいなくなったら、日本はどうやって中国の脅威をかわすのか?」という大問題が残る。

 こう書くと、リベラル系の人は、「今の時代、中国が尖閣を奪いにくることなどありえません!」と、自信たっぷりに断言する。そんな人に私はいつも、中国が「日本には尖閣ばかりか、沖縄の領有権もない」と宣言している以下の記事を読んでもらう(記事はこちら)。

 これを読めばわかるように、中国は、明らかに「尖閣」「沖縄」を狙っている。今、米軍が撤退すれば、中国は比較的容易に、最低でも尖閣、最悪沖縄まで奪ってしまうだろう。