トランプ旋風が吹き荒れる米国の大統領選挙。見ているだけなら気は楽だが、観客でいられるのは投票日まで。どのような結果になろうとも、世界経済、そして、日本は新しい大統領と向き合わなければならない。
トランプ氏が大統領になった場合には、何がリスクなのか。本選挙ではクリントン氏が有利との見方が強いが、クリントン政権が誕生すれば安心なのか。一足早く、来る新政権のリスクを考える。
トランプ氏は党大会で波乱の可能性あり
クリントン氏は指名獲得に着実に近づく
米国の大統領選挙は、いよいよ各党の指名候補が固まりつつある。11月8日に投票が行われる本選挙では、実業家のドナルド・トランプ氏(共和党)とヒラリー・クリントン前国務長官(民主党)が、バラク・オバマ大統領(民主党)を継ぐ第45代大統領の座を争う可能性が高まっている。
各党の指名候補は、7月に行われる全国党大会で正式に決定される。実際に党大会で指名候補を決める投票を行うのが、今年2月から各州で行われている予備選挙・党員集会で選ばれた代議員だ。党大会で過半数の代議員の支持を得た候補が指名候補となるが、原則として代議員は予備選挙・党員集会の結果に基づいて投票を行うため、通常であれば党大会を待たずに指名候補の目途はつく。
共和党では、トランプ氏が指名候補獲得に最も近い位置にいる。テッド・クルーズ上院議員、オハイオ州のジョン・ケーシック知事が追いかけるが、これから代議員の獲得数でトランプ氏を逆転することは難しい。
トランプ氏が指名獲得を逃すとすれば、党大会での波乱だろう。予備選挙でトランプ氏が代議員の過半数を獲得できなかった場合、トランプ氏に反対する勢力が、党大会で他の候補を指名候補に据えようと画策する可能性がある。
民主党では、クリントン氏が着実に指名候補獲得に近づいている。バーニー・サンダース上院議員が下馬評以上に健闘しているものの、いずれクリントン氏の獲得代議員数は過半数を超えそうだ。メール問題での訴追など、不測の事態が起こらない限り、クリントン氏の指名候補獲得は動かないだろう。