特に最近は新卒の就職内定率が高く、売り手市場であることから、複数内定を取るのも学生の間では当然になっています。アイデムの調査では、2016年卒で内定を保有している人の一人当たりの内定獲得社数は平均2.5社です。その感覚でいくと、もし現在の企業がダメだったら次があるだろう、という気持ちが無意識に生じます。

 さらにディスコの行ったアンケートでは就活でついた嘘の1位が「第一志望ではないのに第一志望と言った」になっています。もっと他にも良い企業があるだろうと安易な転職を繰り返す…これでは景気がどれだけ良くなっても人材価値はどんどん低くなり、非正規雇用に向かってしまいます。

先輩や上司に相談できる人はいるか?

 ここで今後気をつけたいのが、メンターである年の近い社員のフォローです。前出のアイデムの調査によると、就職活動において最も相談をした相手の1位は「友人・知人」であり、73.8%となっています。ついで2位以降として「父親・母親」(50.5%)、「先輩」(47.4%)、「キャリアセンター職員」(33.3%)となっています。つまり実際にその業務や世界に近しい人よりも、身近にいる人に相談することを重視しています。こういった進路の決め方をしてきている中で、職場の不平不満や心配事が生じた際に「先輩、上司」へ相談するという考えを持ちづらいのです。

 特に入社して数ヵ月は会社の相談をする相手に「同期」が入ってくることでしょう。この場合は会社の考え方や将来的な視野を加味した上での相談にはならず、将来の展望と乖離する結論になるリスクがあります。つまり安易な退職です。それを防ぐために、ブラザー制やシスター制をとって、新人にメンター的役割を持つ先輩社員も重要になります。

 こういった背景を前提に、育成方法は時代によって変わらなければならないことを社内で認識しましょう。新入社員のアプローチ方法も変わっていって当然なのです。もちろんこれは新人教育だけではなく、次年度卒業生に向けた説明会でも同様です。

 新入社員がどういう状況でも、入社した以上は大活躍する可能性も大いに秘めています。当の新入社員が部署に配属されてくるのはまだ少し先の話かもしれません。ですが、彼らは会社や自分の周りに新しい風を吹かせ、変化や進化を促す存在です。自分自身もネクタイを締め直し、今年の新入社員に期待をしたいものです。

(キャリアプロデューサー 櫻井樹吏)

参考記事:
就職活動に関する学生調査(株式会社アイデム「人と仕事研究所」)

就活でついた嘘、「第一志望です」が1位(株式会社ディスコ 10月1日時点の2016年度「就職活動モニター調査結果」)