拡がるシェアリング・エコノミー

 次々と登場するシェアリング・エコノミーのビジネスが全て成功を収めるわけではなく、取り扱う商材やビジネスモデルによって成否は分かれるであろう。シェアリング・エコノミーのビジネスが最も適合するのは、保有総コストが高く、所有者側の稼働率や利用頻度が低い領域と考えられるが、その領域はさらに拡大していくことが予想される(図2)

 よほどの拘りがあって、自分で購入して保有したいと思うもの以外は、必要な時にだけ借りて使うという行動様式は、特別なことではなくなっていくだろう。そもそも、CD/DVD、レンタカー、ホテルの客室、貸し会議室などを必要に応じて有償で貸すという事業は、これまでも当たり前のように行われていたビジネスモデルである。しかし、これまでは事業者が設備や在庫を抱えてビジネスを行っていた。ネットやスマートフォンの普及により、Peer-to-Peer(個人対個人)の情報のやり取りが容易になったことで、大きな資本を持たずともこうしたビジネスに参入でき、全ての一般消費者が事業者の競争相手となったと見ることもできる。

シェアリング・エコノミーが及ぼす影響

 Airbnbの従業員は1000人に満たないが、15万人の従業員が働く世界的なホテルチェーンよりも多くの客室を提供している。そして、ビルの保有や維持コストもかからないし、警備や清掃のための従業員を雇う必要もない。これでは、どう考えても従来の事業者に勝ち目はない。2009年に設立されたUberは、2015年の売上げが100億ドル以上(このうち約20~25%が実際の手数料売上げとなる)と推定される巨大企業に成長しており、さらに2016年にはその2倍以上の売上げとなると予測されている。

 法規制や従来型ビジネス独自の付加価値も存在するため、全てがシェアリング・エコノミーに置き換えられるわけではないが、一部の市場を奪われることは避けられないだろう。また、シェアリング・エコノミーの周辺にもさまざまなビジネスが創出されている。例えば、日本国内のサービスで、近隣に住む人が部屋掃除、料理、家具組み立て、買い物などの家事を代行してくれるエニイタイムズは、ITRではマッチング・エコノミーに分類している(本連載第50回「経営者が注目すべきデジタルビジネスの12パターン」)が、人の役務(労働時間)を共有するという見方をすれば、シェアリング・エコノミーの要素も持っている。

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どう対峙すればいいのか

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