Lyftのクルマで、サンフランシスコ空港に向かう。ドライバーとLyftとの情報交換は、ドライバーの所有するスマホのアプリのみで実行 Photo by Kenji Momota

米でUberやLyftの利用は日常行為
今やビジネスマンの必須アイテム

「“白タク”合法化を許すな!」

 2016年3月8日、日比谷公園から東京駅に向かう路上でシュプレヒコールが響いた。

 タクシー、ハイヤー、トラック、バス等の労働組合でつくる、全国交通運輸動労組合総連合が日比谷公会堂で、「安全破壊の白タク合法化阻止! ハイタク労働者総決起集会」を行い、その後にデモ行進を行なった。

米シリコンバレー、マウンテンビュー市内のショッピングモールで、Lyftのクルマを呼んだ Photo by Kenji Momota

 ちょうどその頃、筆者は米シリコンバレーにいて、大手ライドシェアサービス「Lyft(リフト)」のクルマに乗っていた。同行した米系企業の日本法人担当者が、自分のスマホアプリを使って呼んだものだ。彼は日本在住で、年に何度か訪米するが、空港からホテル、ホテルから訪問先などの移動で「レンタカーやタクシーを使うことは、まずない」と言い切る。こうした“ライドシェアに対して違和感をまったく持たない”日本人ビジネスマンが最近、筆者の周りで急増している。

 彼らにとってLyftやUber(ウーバー)を使う利点としては、

①グーグルマップやiPhoneのマップ(TomTom社作成)で場所を指定すれば、ピンポイントでそこに来てくれる
②クルマの到着時間が分かり、大都市周辺ならば10分前後で来る
③行き先も事前に通知しているので、道の説明をする必要がない
④降車の際に、支払いの手続きがまったく要らず、さらにクレジットカードの利用履歴がしっかり残る
⑤タクシーに比べて、料金が3割から4割も安い

 といった声が多い。

 こうした状況下、全米でタクシー事業者の倒産が起きている。最近、米国の各地でタクシーを使い、車内でドライバーに「UberやLyftをどう思うか?」と聞いてみると、「我々の商売にとって、ものすごいダメージになっている。しかし、自分がお客の立場ならタクシーは使わないだろう」という“微妙な答え”を多く聞く。

 とはいえ、アメリカでもライドシェアが非合法な州や地域は多い。昨年7月時点での話だが、Uberの事業開発担当者にミシガン州アナーバー市でのカンファレンスで直接話を聞くと、こう言っていた。「現状では、全米23州で合法化されている。合法化への説得はとにかく時間がかかる作業だが、担当者である私としては、各州とワシントンDCの議会へのロビー活動を地道に続けるだけだ」。