――近年、富裕層や海外取引をターゲットにしたマルサ案件が多いと聞きます。

衛藤 国の方針に基づき、「富裕層」「海外取引事案」「消費税の固有の問題」に、国税庁が2008年度から積極的に取り組んでいるのです。

 特に「海外取引事案」は、ストックオプションやFXに関する事案や、消費税の輸出免税を悪用した不正還付、人件費を外注費に偽装した逋(ほ)脱(=脱税)などに目が向けられています。

ガサ入れはどこに入る?
どんな物がターゲット?

――ガサ入れは、どんな人に入るのですか。どんな物が対象になるのですか。

衛藤 自宅、会社、別荘、相続人や特殊関係人宅などです。土地や建物などの不動産、書画骨董などは、評価によって価値が変わってくるので価額の把握が難しい。また、現金や過去に取得した無記名債権、金地金、海外財産は隠しやすく、把握しにくいのが現実です。一方で、把握できれば金額的には告発できるので、「査察調査に向いている」といえるかもしれません。

 国税庁は、畳の下や庭から数億円のお金が見つかったケースなどを写真付きで掲載しています(※)が、このような誰でもわかる悪質、かつ大口の脱税行為を見つけ、告発していくのがマルサです。
※参考:「国税庁レポート 2015」(国税庁)28ページ(PDFファイル)

――査察調査概況ので写真は、似たような隠し場所が多いように感じますが、脱税者に共通した特徴はありますか。

衛藤 自宅の駐車場に無造作に数億円置いていた大胆なケースもありますが、長年の経験から、脱税者にはいくつか決まった隠し場所があります。例えば、掛け軸などを飾っている床の間の床下、仏壇の中、タンスの中などがあります。床の間では、床下に金庫が埋めてあるケース。タンスは二重底になっているケースが少なくありません。

 こうした隠し金は、情報なしに探し当てることができるものではありません。事前の調査が重要です。情報部門のガサ入れの前の地道でかつ緻密な証拠集めなど、見えないところでの動きこそが査察調査の真の実力です。

(構成・「KaikeiZine」編集長・宮口貴志)

 

■一般社団法人租税調査研究会
国税調査官、税務署長など国税出身の税理士により、適正な税務判断と適正納税のための総合的な税務審理アドバイス、調査対応支援を目的に設立。企業の財務・会計担当者や会計人向けセミナー、個別相談対応の他、執筆活動なども行っている。 http://zeimusoudan.biz/