5月から6月にかけて世界の株式市場は大きく下落した。直接の理由は欧州の財政問題や米国の景気先行き不透明感だが、下落幅を大きくした要因の一つにヘッジファンドのリスクポジション圧縮がある。

 6月に開催されたヘッジファンドの国際会議では英国の大手ヘッジファンド、マン・グループのピーター・クラーク最高経営責任者(CEO)の「(同社の)ファンドの中身を市場の変動の高まりや下振れリスクに備えたものに組み替えている」など、ポートフォリオのリスク抑制を示唆する発言が相次いだ。クレディ・スイスのプライムブローカー部門は、ヘッジファンド顧客の資産に占める現金割合が6月時点で24%と3ヵ月前の19%から増加し、またレバレッジは2.8倍から2.5倍に低下したと述べている。

 ヘッジファンドがリスクを取れなくなっている様子は統計からもうかがわれる。米S&P500株価指数先物の建玉残高は、2008年から09年初めにかけて半減した後安定していたが、ここにきて5月、6月と大きく減少した。日経225指数先物の建玉も似たような動きだが、いずれもヘッジファンドのポジション圧縮が影響したと思われる。