意思に反した個人情報の拡散、特定個人への誹謗中傷など、ネット社会特有の問題が多発する韓国。不要となった個人情報や悪意ある書き込みを消去する「忘れられる権利」の在り方に関し、このほど行政が動きを見せた。インターネット投稿へのアクセス排除を要請する際の手続きに関する「ガイドライン」の運用が始まるという。
「忘れられる権利」を想定
ネット業界のガイドライン
韓国放送通信委員会(注)は今月、「インターネット自己掲示物アクセス排除要請権ガイドライン」を策定し、5月から施行すると発表した。
※写真はイメージ Fotolia_104118881
インターネット上で起こる望まざる個人情報の拡散や誹謗中傷、風説の流布などに歯止めを掛けるため、「忘れられる権利」を認めようという議論が、2014年5月のEU司法裁判所の判決などを背景に韓国でも高まりを見せていた。
そんな中で、自身の投稿や個人情報の削除要求を行いやすくする旨を記したのが、この「ガイドライン」だ。
たとえ自分の書き込みを削除しても、グーグルをはじめとする検索サイトには、投稿がキャッシュとして残り続ける。
また、ソーシャルメディアなら退会することで書き込みを削除できるが、オンラインコミュニティサイトの場合は、退会しても自分の書き込みに他のユーザーがコメントを書き込んだ場合は削除できないルールがあるなど、そう簡単にネット上の履歴を消すことはできない。
世界的に見ても極めて高い割合で、インターネットが社会のあらゆる場面に浸透している韓国では、その利便性を享受してきた反面、ネット社会特有の闇の側面に苦渋をなめた経緯があることは、第2回でもお話しした通りだ。
注 韓国放送通信委員会:放送・通信、周波数の研究・管理とそれに関連する各種政策を決める、2008年設立の大統領直属機関