「今からでも、2社でやってもよいのでは?」
土壇場になって“ダークホース”が登場した。彼らの発言は、これまで関係者の多くが口に出さなかった正論だったので、事態はますます混迷の度合いを増してきた。
民主党の議員連盟によるヒヤリングの終了後、関係するキーマンが順番に「(記者団による)ぶら下がり取材」に応じるという不思議な光景が見られた。民主党関係者、NTTドコモ、マルチメディア放送、KDDI、メディアフロージャパン企画、クアルコムの幹部で、廊下はあふれ返った
8月3日の夕方、夏の日差しが照り付ける永田町の衆議院第2議員会館地下の会議室で、民主党の「情報通信議員連盟」が主催するワーキンググループが開かれた。
その内容は、総務省が主導して検討が進められている「携帯端末向けマルチメディア放送」の事業者選定問題に関して、“政治主導”を標榜する民主党の議員(有志)による関係者ヒヤリングだった。
たった1つの認定枠をめぐって争うNTTドコモと、KDDIの両陣営のトップ以下の幹部がずらりと顔を揃えたばかりか、総務省の担当者も議員会館に呼ばれた。
情報通信議連事務局長の高井崇志衆議院議員は、何度も「勉強会の位置付け」と強調したが、ヒヤリングでのやり取りはインターネットの動画配信で生中継されるほど、注目を集めるものだった。
最終的には官僚が
どちらか選ぶ問題
そもそも、2009年の秋から始まった携帯マルチメディア放送の議論は、2011年7月にテレビ放送が地上デジタル放送に移行することにより、アナログ放送の周波数帯域の一部に“空き”が出ることを受けて、過去に「放送」の領域で使用してきた電波を「通信」の領域に転用することで有効利用してもらおうという構想だった。