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総務省でNTTのグループ内の再編に対する規制強化の議論が始まった。NTTドコモに続いてNTTデータグループの完全子会社化を決めたNTTに対し、KDDIら競合企業がこれ以上のグループ一体化を阻止しようとする攻防が再燃。特集『巨人復権 大NTTの野心』の#7では、NTTグループの“再統合規制”の行方と課題に迫る。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

「NTT法廃止」論が消え一転して規制強化へ
NTTのグループ再編に歯止めがかかる理由

 NTTがNTTデータグループ(データG)の完全子会社化を決議した5月8日、NTTの経営を左右するNTT法の改正が重要な節目を迎えた。その日、同法案は衆議院総務委員会で可決。改正NTT法は、5月21日の参議院本会議で成立した。

 NTTは、通信業界の反発を呼びかねないデータGの完全子会社化と、業界を挙げて大論争を巻き起こしたNTT法の改正を同時に成し遂げた。その過程を見れば、グループの変革のために周到に準備していたことが分かる。

 NTTが求めてきたNTT法廃止の議論は、2024年秋の衆院選で、議論を主導した甘利明・元自民党幹事長が落選したことで尻すぼみになったが、24年4月と25年5月の2段階で改正されたNTT法と関連法では、旧態依然とした通信規制の一部が緩和される。

 具体的には、24年4月の一部改正で、研究開発の開示義務の撤廃や外国人役員規制の緩和が実施され、第2段階の改正で、全国一律の固定電話サービス(ユニバーサルサービス)の提供を求める規制が緩和された。

 これらの規制緩和はNTTにとってメリットが大きい。だが、その一方で、新たな改正NTT法と関連法では、NTTに対する規制強化も盛り込まれた。

 その一つが、NTTのグループ内の再編に対する規制だ。NTTがデータGの完全子会社化を決めたことを受け、KDDIやソフトバンクら競合企業は、NTTドコモとNTTデータの合併などを懸念して規制強化を求めている。

 詳細は26年春を予定する改正NTT法と関連法の施行日までに決められるが、グループの“再統合規制”は、NTTの経営を縛る新たな足かせになるのか。次ページで、その行方と課題に迫る。