タックスヘイブンの問題は、複雑である。「タックスヘイブンに子会社を持つことが問題だ」と批判しても、「それは合法であり、問題はない」という説明で終わってしまう。
パナマ文書問題をきっかけに、税制の公平化を前進させるには、問題の所在を正確に把握する必要がある。
日本の場合には、とくに「外国子会社配当益金不算入制度」の是非について議論する必要がある。
世界に衝撃を与えたパナマ文書
日本の企業や個人も含まれる
タックスヘイブンの会社設立を手掛けるパナマの法律事務所モサック・フォンセカから、1977年から2015年にかけて会社設立を依頼した顧客に関わる情報が流出し、世界に大きな衝撃を与えている。
情報を管理しているNPO国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は、パナマ文書に含まれる21万の海外法人とその関係者の名前を、5月に公開すると表明している。朝日新聞によれば、パナマ文書には日本国内を住所とする約400の人や企業の情報が含まれている。
実は、同様のリークがすでに13年になされた。ICIJによって、オフショアでの実態が暴かれたのだ。この事件のことを「オフショアリークス」と呼ぶ。
ICIJは、「オフショアリークス」というサイトで、オフショア取引を行なっていた法人や個人のデータベースを公開している。ここには、日本の企業名も多く含まれている。
「オフショアリークス」は、当時世界でかなり大きな問題とされたのだが、日本ではあまり話題にならなかった。
しかし、今回は国家首脳が関わっていることから、世界的にさらに大きな問題になっている。13年とは条件がまったく異なるので、実名が公表されれば、日本でも大きな問題となるだろう。