浮気する人は「退化」している

原口:五百田さんも書かれてましたが、男性は10人中9人とセックスできるけど、女性は10人中1人としかできないと言われますよね。男性は本能的に種を残そうとするから、浮気や不倫は仕方がないというようにも読めるのですが。

五百田:不倫や浮気に関しては、僕は明確に「こうすべき」という持論を持っています。

原口:と、言うと?

五百田:「絶対にしちゃいけない」です。なぜなら「現代人だから」。

原口:え? 現代人だから、ですか?

五百田:僕たちが、マンモスを追って、激しい気候にさらされながら、できるだけ種を残さなくてはいけない原始時代に生きているのであれば別です。本能どうこう言ってもいい。でも我々、現代人ですから。現代の文明を享受している都市生活者なんですから、現代社会のルールを守らなくちゃダメです。

原口:ああ、なるほど。文明的な生活を選択するために、私たちは「婚姻」という制度を作ったわけですよね。

なぜ、妻の浮気はバレにくいのか?五百田達成(いおた・たつなり)作家・心理カウンセラー。株式会社五百田達成事務所代表。30万部を超える『察しない男 説明しない女』ほか著書多数。Yahoo!ニュース個人などで情報発信中。

五百田:「奥さんのことを一生大事にしなさい」とか、「奥さんだけにずっと性的興奮を感じ続けなさい」などということが理想論ということは分かっています。それでも、文明的な生活を選択した以上、浮気はしてはいけない。

原口:婚姻制度に逆らうのは、人類としての退化だということですか(笑)。

「一晩80万円」でも、買いますか?

五百田:前回もお話ししましたが、リスク管理の側面から考えても、浮気は費用対効果が悪すぎます。

原口:「いざ離婚」となったら、慰謝料も養育費もかかる上に、財産分与もしなくてはいけないですからね。結婚生活を維持することが、ある種のリスクヘッジになるとも言えますね。

五百田:タレントの土田晃之さんが以前、ちょうどそんな話をしていました。彼は子だくさんで、4人の子どもがいるんですよね。だからいま浮気すると財産分与だ、慰謝料だと、億単位のお金を持っていかれると。どんなに誘惑があっても、そんな高価なセックスはできないという話です。

原口:実際に、1回だけ浮気をした奥さんの相手の男性に、旦那さんが慰謝料を請求して認められた判決では、80万円の支払いが命じられていました。

五百田慰謝料だけで1回80万円ですか。「一晩のリスクを80万円で買いますか?」ってことですね。

原口:でも、そんなふうに考えている男性は少ないですよね。理由を聞くと、「魔が差した」とかが多い。

五百田:リスク管理の面から言えば、魔が差している場合じゃないのに(笑)。

原口:慰謝料の話で言えば、女性の特徴として、夫ではなく浮気相手の女性を恨む傾向があります。「うちの夫はあの女にたぶらかされたんだわ!」と思うわけです。ですから、相手の女性に慰謝料を請求するケースも多い。ただし、そんなやさしい女性でも、浮気が数回に及ぶと、「自分の夫に問題があるのかも」と思うようになる。

__女性の心理的には、浮気は何回まで許されることになるんでしょうか……。

原口:最初の1、2回でしょうね。1、2回であれば「悪い女に引っかかった」と考える女性もいるようです。とくにお子さんがいる場合は、家庭を守ろうという意識が働きますから。

五百田:でも、その恩情に甘えるのってどうなんでしょうかね……。

なぜ、妻の浮気はバレにくいのか?原口未緒(はらぐち・みお)弁護士。1975年東京都生まれ。夫婦・離婚案件を主に扱い、相談件数は350を超える。13年より業務にコーチング・カウンセリング・セラピーなどの手法を取り入れ、「心もケアする弁護士」として奮闘中。自身も離婚経験がある。初の著書『こじらせない離婚』が話題を集めている。

原口:宮崎謙介・元衆院議員のいわゆる「ゲス不倫事件」以降、「うちのダンナが同じタイプなんです」という女性が何人か相談に来ました。「平然と浮気をされるから、私が悪いのかと思ってしまう」と。

五百田:もし、男が無自覚に「多少浮気しても、子どももいるし、経済的な面もあるし、別れられないだろう」と考えているのだとしたら、それはお金を笠に着て人質をとっているようなものですよね。そういう面から考えても、人としてアウトです。反社会的行動なんだと自覚しないと。