大反響! 9万人が読んだ離婚ストーリー、完結編。

ぜひ、前半の「職場の後輩に夫を寝取られた妻の『復讐』」からご覧ください。

離婚を考えた妻は、何を考え、どう行動するのか? 自分にとって理想的な形で着地する方法を公開したフィクション仕立ての離婚指南書『こじらせない離婚』から、夫が知っておきたい1つのストーリーを紹介します。

相手を苦しめるなら
自分も同じだけ傷つく覚悟が必要

あまりおすすめしたくはないのですが、久美さんがどうしても「2人を困らせたい」と主張するのであれば、私は「パーティだと思って徹底的に楽しめるのであれば、やりましょう」と提案するつもりでした。

もし久美さんが2人を困らせたいと思うのであれば、たとえばご主人とは離婚せず、さゆりさんだけを訴えて慰謝料をとるということもできます。今回の場合、ご主人側からの離婚の申し立ては「有責配偶者からの離婚請求」にあたるので、久美さんが拒めば離婚は成立しません(※有責配偶者というのは、婚姻関係の破綻にいたる原因を作ったほうを指します。この場合は久美さんのご主人がそれにあたります)。

ですから、久美さんが離婚を拒み続けることができます。別居期間が数年以上経過して「実質的に婚姻関係が破綻している」とみなされるまでは、裁判になっても離婚は認められないでしょう。

けれども、実際にさゆりさんに慰謝料を請求して、かつ離婚を拒むことになれば、それはある種の戦争になります。もちろん相手を傷つけることはできるでしょうが、自分自身も同じくらい傷つきます。それでも最後に一泡吹かせたいと割り切って、ネタにする覚悟があるのであれば、やってもいいのではないかと思います。

しかし、当然ながらご主人との関係はより悪化しますし、時間的にも精神的にもかなりの負担になります。金銭的にも、早期に合意するよりは、受け取れる金額が減ることを覚悟しなくてはなりませんし、弁護士費用もかかります。

「さゆりから慰謝料を取ってやりたいという気持ちは正直今でもあります。公私にわたって迷惑かけやがってって思いますから。でも、それで夫が反省するとか、私のところに戻ってくるとは思えないんです。むしろ、余計、さゆりを守ろうとしますよね」

「その可能性はありますね」

「どうせ修復できないのであれば、ちゃんと慰謝料をもらって別れようと思います」

今回のことがあるまでは、姉弟のように仲が良かったというご夫婦です。本当は久美さんも、これ以上ご主人との関係を悪化させたくないという気持ちがあるのでしょう。久美さんはランチを食べているとき「昨夜は一睡もできなかった」と言っていました。最初に事務所に来たときには、昨夜の理不尽な怒りをずっと引きずったままだったのかもしれません。