ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
マーケットが見える!人のココロをつかむセオリー

固定電話が主役だった時代は何が良かったか

相手と話すシナリオを何度も考えた理由

藤田康人 [インテグレート代表取締役CEO]
【第99回】 2016年5月9日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
3

デートの流儀は今も
仕事に通ずる

 デジタルによるコミュニケーション技術は、日進月歩で進化します。冒頭で触れたIoT社会が進展すれば、人間が人力でやっていた作業の時間が減り、得られた余裕時間によって私たちの生活は豊かになるといわれています。

 が、しかし、私にはむしろ、今は生活サイクルがテクノロジーに翻弄されているように感じられてなりません。ビジネス上の判断を求めるメールは、週末だろうが夏休みだろうがお構いなしに飛んできて、リアルタイムで回答を要求します。心の休まる間もありません。

 「ぐるナビ」も「食べログ」もない時代、デートする相手の女性と仲良くなりたい一心であらかじめ自分でレストランを下調べしたり、デートコースを綿密に計画していた大学時代も、その当時は不便を感じることがありませんでした。

 スマートフォンで、彼女を誘おうとしたレストランの口コミ情報を何気なく見て、たまたま読んだ他人の評価に「がっかり」ということもあるでしょう。ところが、得てしてそれは、「ネタバレ」のショックによる先入観であることも多いようです。

 デジタル時代の今、情報が氾濫するあまり、私たちには知らない間に第三者の言葉だけで事前に○か×を判断するクセがついてきたのかもしれません。

 例えば、「店自体は普通だったけど、行ってみたら意外な出会いがあってとても良かった」と思えるような、データに残らない情報に接する機会を損失していることに、人は鈍感になっています。

 デートの時は、相手をサプライズで喜ばせるのが私の流儀でした(笑)。実は、この気持ちは仕事をする上でも、とても大切です。

 リアルタイムで得られる回答や情報を追いかけるばかりでは、テクノロジーによってもたらされる本当の豊かさを享受することができません。

 私たちが失いかけている気持ちを取り戻すためには、相手に「考える時間」を与え、自らも「時間をおいて」相手のことを考え、丁寧にコミュニケーションを取るということが重要なのです。

previous page
3
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

藤田康人
[インテグレート代表取締役CEO]

慶應義塾大学を卒業後、味の素株式会社を経て、92年、フィンランド人の社長と二人でザイロフィン ファーイースト社(現ダニスコジャパン)を設立。素材メーカーの立場から キシリトール・ブームを仕掛け、キシリトール製品市場はゼロから2000億円規模へと成長。07年、株式会社インテグレートを設立し、代表取締役CEOに就任。著書に『どう伝わったら、買いたくなるか』『99.9%成功するしかけ』 『漂流する広告・メディア』講演活動も行っている。integrateGroupウェブサイト:http://www.itgr.co.jp/

マーケットが見える!人のココロをつかむセオリー

インターネットなど双方向メディアの普及に伴い、従来の広告メッセージが届きにくい時代になったと言われます。どんな方法なら消費者とのコミュニケーションが成立するのか。「次世代IMC」を掲げる注目のマーケティング企業CEOがその極意を伝授します。

「マーケットが見える!人のココロをつかむセオリー」

⇒バックナンバー一覧