トランプ氏の「アメリカ・ファースト」政策
「暴論」が世論の趨勢となる恐れ

トランプ氏の極めて歯切れの良い主張と米国の利益を優先する姿勢は、一定の層から強い支持を受けている
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 米国大統領選挙予備選挙において大方の予想を覆してトランプ氏が共和党候補者として指名確実となった。これはワシントンの既成政治家への強い不信を物語ると同時に、トランプ氏の極めて歯切れの良い主張、なかでも「アメリカ・ファースト」を掲げ米国の利益を何にもまして優先するという姿勢が支持を受けたと言える。

 しかし、これはあくまで共和党内の予備選挙キャンペーンであり、大統領選挙本選になれば主張をより穏健に且つ精緻にしない限り当選はおぼつかない、或いは大統領となれば専門家達が政策のアドバイスをするであろうし、結果的には極端な政策とはならないのかもしれない。

 ただ、トランプ氏の主張のうち、専門家の目から見ては「暴論」と思われることも、米国内世論の趨勢に沿ったものはその方向に大きな力が働くことはありうるのだろう。結果的に大統領に誰が選ばれても、世論の大きな流れは無視できないだろうし、米国の政策に反映されていく可能性がある。そのような主張の中で、早い段階できちんと反論をしておかないと流れが出来てしまう恐れがあるのは、日米同盟政策である。

 トランプ氏は時の推移と共に仔細の言い方は変えてきているが、3月26日のNYタイムズインタビューや5月4日のCNNインタビューなどで「米国には日本を守る義務はあっても日本には米国を守る義務はない、日本は米軍駐留経費を全額負担するべきである、それが嫌であれば米軍は撤退し、自分で自分を守るしかない、日本が核兵器の保有に至ったとしても米国にとって悪いことではないのかもしれない」という趣旨の発言を繰り返し行っている。