売れたのは5000基中60基のみ
“ロッカー式納骨堂”で破産した寺も

 寺院などが導入している、何段にもわたって遺骨を納めることができるロッカー式の「自動搬送式納骨堂」もやはり売れ残っているケースが多いと、前出のNPO法人担当者。

「『大成功した寺がある』『坪当たりの売り上げが見込める』という業者の話を鵜呑みにし、1000万円、2000万円資金を投資する。しかし、ロケーションがよくないと売りにくいのは通常の霊園と同じだ」

 背景にあるのは寺院の経営問題だ。核家族化、さらに少子化、単身化によって家族の結びつきはどんどん薄れていった。それにともない檀家離れが進んだ。火葬だけの直葬や散骨も増え、「坊主丸儲け」と揶揄されるような羽振りのよい寺院は少数派になりつつある。

 実際、2010年には福井県あわら市の寺が多額の負債を抱えた結果、破産に至り、マスコミを騒がせた。設置した自動搬送式納骨堂5000基のうち、売れたのはわずか60基だったという。

「焦って購入」は禁物

 墓は一部で不足し、一部で余っている。ここまで見てきたように都市部と地方では違うし、公営墓地と事業型墓地とでも違う。だが焦って、タイプかまわず購入すれば、後々いろいろトラブルが起こりそうだ。

 全国の消費生活セン ター等に寄せられた「墓」に関する相談件数は、 2010年度~2014年度だけでも8000件超にのぼる。

「納骨堂の契約をしたが、宗派が違うので納骨できないと言われた」「寺院と墓地の契約をしたが、墓石は寺が指定した石材店にしか頼めないことになっていた」といった内容だ。

 その納骨堂はほんとうに宗派を問わない事業型墓地なのか、それとも納骨後は檀家になる必要のある寺院が運営・経営する墓地なのか?申し込んだ民間・寺院墓地では、あらかじめ決められた石材店しか選べない石材店指定制度を設けていないか?契約前にしっかりチェックしておくべきだろう。

「早く買わなきゃお墓がなくなる!」と、親が安易に墓を購入しようとしていれば、子世代は「ちょっと待って」と一声かけ、じっくり一緒に検討する必要がありそうだ。